2024 アメリカ
監督 S・J・クラークソン
脚本 S・J・クラークソン、クレア・パーカー
質が低いわけでは無いが、いろんな局面で至らなさが目立つ
あー、そりゃヒットせんわ、と至極納得したスパイダーマン・ユニバースの第4作目。
突然予知能力に目覚めた女が、謎の怪人に襲われるハイスクールガール3人を救う物語なんですけどね、ま、ストーリーの流れ的にあれこれ不自然極まりないのは言うまでもなく。
前提として、マダム・ウェブはその予知能力でのちのちスパイダーマンを助ける存在であり、3人の女子は後年のスパイダーウーマンである、ということがわかってないと、色んな意味でついていけないでしょうね。
早い話が「のれない」んですよ。
予知夢だかなんだかしらんけど、妄想に囚われた変態蜘蛛男(変態ってことはないか)がうら若き乙女を付け狙う、ってだけで「病んでるのかよ・・」って言いたくなるわけですが、そこにマダムウェブがわざわざ1枚噛んでくるってのがこれまた「なぜそうなる?」って感じでね。
原作におけるスパイダーマンとマダムウェブの関わりが頭に入ってたら前日譚として興味深いのかもしれませんが、私を含めた知らない人間にとってはシナリオががちゃがちゃしてる印象をうけるだけだと思うんですよ。
あれこれ盛りすぎ、と言っていいかもしれない。
アメコミの失敗作ってね、判で押したかのように「みんな知ってるでしょ?」とばかり説明を省くんですけど、それ大間違いだからね。
なんで原作の認知度に依存して映画作ってるんだよ、って話でね、怠慢でしかない、ってことを制作側が理解してない。
いくら時系列に沿ってようが、もともとそういうお話だろうが実写に適さないってことは必ずありますから。
だいたいね、蜘蛛男(エゼキエル)が狙うなら、マダムウェブ一択だと私は思うんですよ。
予知能力に目覚めたばかりの女が、能力に振り回されながらもスパーダーマンに似た力を持つ悪党を一蹴する物語、だったら間違いなく楽しめたと思いますね。
スパイダーウーマンとの出会いをあえて盛り込む必要はなかった。
そういう取捨選択が出来ない時点で浅慮と言われても仕方ない。
ちったあデッド・ゾーン(1983)を見習え、って(予知能力者を描いた傑作)。
あと、結果的に女子4人組VS怪人の絵面になってしまったのも失敗だった、と思いますね。
リメイク版ゴーストバスターズ(2016)といい、ハーレイ・クインの華麗なる冒険(2020)といい、女子連合VS悪党の物語って、うけたためしがないんですよ。
なんで同じ轍を踏むかな、と。
マダムウェブの能力が発現してスパイダーウーマンに出会うまでをじっくり描きすぎて、立ち上がりが異様に遅かったのもマイナス点。
終盤になってやっと盛り上がってくる、ってアメコミ映画なのにのんびりしすぎ。
しかしこれのどこがミステリ/サスペンスなんだ?
これがミステリならターミネーター(1984)もミステリになっちゃうぞ?
うーん、結局面白かったのはヴェノム(2018)だけ、という結果に終わりそうですね、スパイダーマン・ユニバース。
アメコミ映画も飽和状態ですし、手広くやりすぎた、ってのはあるのかもしれません。
ねじレート 60/100