2024 イギリス/アメリカ
監督 ルイーザ・ウォーレン
脚本 ハリー・ボックスリー

この映画を庵野よろしく「シン」で括ってしまおうとする姑息な思いつきがもう腹立つ
プー あくまのくまさん(2023)やマッド・マウス(2024)等々、ここ最近のホラー界隈の流行りにのっかった映画なのかな、と思って手に取ったんですが、いやー、やってしまったわ。
ひでえ、っす。
いや先輩、マジでこれ、腹へってても喰えねえっす。
何がひどいってね、この監督、ストーリーを紡ぐ、という作業ができない、ときたものだから。
オープニングからしてわけがわからんのですよ。
何が起こってるのか、全然理解が出来ない。
それは最後まで見ても同様で。
エンドロールが流れゆくのをぼーっと目で追いながら「あのオープニングは結局なんだったんだ?」とあらためて小首を傾げる有様。
シナリオ進行をいちいち中断する『謎のフラッシュバック』も同様。
なんのために終盤のシーンをわざわざ序盤から小出しにして見せるのか、まったく意味がわからなくて。
こういうのは後々観客が「そういうことだったのか!」と膝を打つための仕掛けであって、なんの謎解きも不思議もありゃしねえのになんの符号なんだよ、って話で。
とにかく悪人にしなきゃね、と浅知恵絞ったかのようなキャラ設定も最悪。
確かにシンデレラの継母や姉たちは意地悪でしたよ、おとぎ話でもね、けど乳母をシンデレラの目の前で惨殺するほどサイコパスではなかったはずで。
しかもね、大した理由があるわけじゃないんですよ、凶行に。
なんかムカつくしなぶり殺し、なんですよね、悪魔のいけにえ(1974)のレザーフェイスでももうちょっと考えて行動するわ!って。
スティーブン・タイラーが女装したみたいなルックス(継母のことです)で殺人鬼、って、笑わせたいのか、この俺を、と。
物語中盤で、いきなり謎の人皮本みたいなのからフェアリーゴッドマザーとかいうゾンビの親戚みたいなのが現れるのも意味不明。
えっ、この映画、ひょっとしてなんかの続編なのか?と疑っちゃったよあたしゃ。
なんの脈略もなく、見定めたかのようにシンデレラが本を地中から掘り出したりするもんだからさ。
終盤の大反撃も脱力。
武器がガラスの靴って・・・・。
相当な腕力がないとヒールで人間の頭に穴あいたりしないよ?つーか、その前に割れるだろうが、って。
お願いだからせめて斧とか鉈とか、見栄えが良くて派手な武器を持たせてやってくれよ、と。
ガラスの靴を片手に迫られて怖いか?そんなこともわからんか?ねえ。
いやー・・・・ただただ疲弊した1時間20分でしたね。
監督のルイーザ・ウォーレンってもともとは俳優で、この作品が監督デビューらしいんですけど、誰がこいつに金出したんだ?と思いますね。
これを上映前に見直して(えっ、見直してるよね?)、こりゃダメだ、と思えない感覚がもうダメ。
話が上手に繋がらない映画は久しぶりに見た気がしますね。
普通はジャンプカットとか恣意的にやるもんだけど、力量なさすぎて足踏みしてるだけにしか見えないとか、もうホント勘弁。
いいから一言謝れ、ルイーザ。
誤っても許してやらんがな。
余談ですが、色んなバージョンが有る中でグリム童話のシンデレラはこの映画とストーリーの進行が似ていて、部分的にはもっとエグかったりします。
うん、原典に負けてる段階でもうアウトだわな。
ねじレート 8/100