海のトリトン

1969年初出 手塚治虫

海洋冒険もの、と言いたいところですが、本作の場合、人類はどちらかというと脇役&悪役で、人類とは似て否なる知的海洋生物トリトン族とポセイドン族の洋上での覇権争いを中心に物語は進みます。

とはいえ、トリトン族はポセイドン族にほとんどが滅ぼされ、残るは主人公のトリトンとピピ子のみ。

後半でやっと3人め登場、ってな状態なんですね。

もう全然勝ち目はない戦況で小競り合いを続けているわけなんですが、そもそもが本作、何を描きたいのかと言う部分で、とかく定まってなくて。

SFにしたいのかファンタジーにしたいのか寓話にしたいのかヒーローアクションにしたいのか、そのどれでもあり、どれでもない状態で、はなはだ座りが悪い。

ラストもまとめ切れなかったのか、すべてをご破算にするかのようにガノモス見参!で、もっと早く来いよって、思わずツッコミ。

ただこのトリトンも色々バージョンがありまして、連載時そのままのものは違う展開、エンディング、という話ですし、私の読んだ秋田書店版がどのバージョンなのかわからないので、 一概に判断は出来ない、という難しさがあります。

余談ですが、アニメはかの富野由悠季の監督デビュー作らしいんで、ひょっとするとアニメで楽しむ、のが正解なのかもしれません。

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