アメリカ 2020
監督 ピーター・シーガル
脚本 ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー
腕は立つんだけど、融通がきかなくて本部から持て余され気味なCIAの工作員が、9歳の少女に翻弄されてドタバタを演じる羽目になるコメディ。
なんとなくどこかで見たような・・って感じではありますね。
子供が大人顔負けの大活躍をする映画、って意味ではホーム・アローン(1990)等に代表されるファミリー向け作品、と考えたほうがいいかもしれません。
脚本はよくできてると思います。
なにか不都合が生じると、すぐに「全員消してしまおう」と言い出す直情的で冷徹な主人公JJを、少女の子守りのおじさんみたく扱う落差ある作劇は普通に笑えますし、少女に付き合っているうち、徐々にJJが人らしくなってくる展開もいい。
物語の終盤なんて、被疑者にだって家庭があり、ささやかながらも守るべき生活があるんだ、と主人公が悟った風にも見えて、なかなかドラマチックです。
ま、あざといといえばあざといんですけどね。
よくあるタイプのコメディ、と言ってしまえばそれまで。
いささか狙いすぎか、と思われるエピソードの積み重ねをうざったく感じてしまったらアウトかもしれません。
クサい、といえばクサい気もしますし。
個人的には脇役でいつもいい味出してるデイブ・バウティスタが主演を努めてることに注目したいところ。
あまりに無骨すぎる演技に賛否が別れそうな気もしますが、それを逆手に取った演出が結構冴えてまして。
そりゃクールな筋骨隆々の大男がしゅっちゅう慌てるのを見てるのは、普通に楽しいですよ。
欲を言うなら、クライマックスぐらいはコメデイ色を排除してメリハリをつけて欲しかったところですが、なんとなくピリッとしなかったのは、少女を最後まで9歳とは思えない存在として描こうとしていたせいでしょうか。
少女が荒事に恐怖するシーンがほんのわずかでもあれば、俄然リアリズムも喚起されたと思うんですが、おそらくそんなこと考えてもみなかったんだろうなあ。
佳作ですかね。
ほんのりと心温まるエンディングが印象的ではありましたね。