アメリカ 2020
監督 ロバート・ゼメキス
原作 ロアルド・ダール
イギリスの作家、ロアルド・ダールの有名な児童文学小説を映画化した一作。
そうかー、原作は児童文学だったかー、と臍を噛むも後の祭り。
どうりでディズニーみたい・・・と感じたはずだよ。
児童文学だから駄目、というわけじゃないんですけどね、やっぱり子供に楽しんでもらおうと思って作られてる映画を大人が本気で見て面白いか?というと、なにかと微妙かと思いますし。
そりゃね、例外はあると思いますよ、同じ原作者のチャーリーとチョコレート工場(2005)なんて、児童向けとは思えぬ毒がありましたし、グリム童話とか、よくよく考えてみたら恐ろしく残酷で救いがなかった、とあとから唸らされたりするわけですし。
要は器がジュブナイルでも、中身が一筋縄でいかない感じなら、子供だけでなく大人も楽しめたと思うんですよ。
その手の工夫がねえ・・・どうにも浅く淡白でして。
とりあえずロバート・ゼメキス監督は何も考えてないですね。
それなりに考えて撮ったわ!とお怒りをかうかもしれませんが、原作の美点(私はあらすじしか知らないですけど、それでも原作のなにが凄いのかぐらいはわかる)を理解してないアレンジ、改変を施すことを「見当外れ」と言うんであって。
いわゆる下手な考え、というやつですね。
ま、監督だけの責任ではないんでしょうけど、この出来栄えじゃお粗末と言われても仕方がない。
やっぱり児童向けなら、子供が大っ嫌いで、自分たちに危害を及ぼす魔女たちを本気で恐ろしいと感じさせる存在として、心胆寒からしめる描写で色付けしてやんなきゃ駄目だし、また、そんな魔女たちに、勇気を振り絞って立ち向かう主人公たちを、心の底から応援したくなる演出で盛り上げてやんなきゃなんない。
なにもかもが平坦なんですよね。
大丈夫なのか?っていうぐらいドキドキもしなければワクワクもしない(本筋とは別のセンテンスでハラハラした場面はあったけど)。
魔女がホテルに集まってました→大変だ、襲われちゃう→負けないぞ→力を合わせてやっつけよう。
いやいや箇条書きで事足りてるじゃねえかよ、と。
もしくはせっかくアン・ハサウェイに悪役演じさせてるんだから思いっきり汚れ役に徹してもらうとかね。
アン・ハサウェイ、口がさけちゃってるけど、なんかかわいいですし。
グロい特殊メイクであってすら、綺麗に撮ってもらうことに腐心してるみたいな感じで。
余技的なんですよね、こういうこともできるんですよ、とお披露目してるよう、というか。
あんまりハサウェイ演じる魔女のキャラを深く追求しすぎると、大人しかついてこれない仕上がりになるかもしれないですけどね。
で、最悪なのはエンディングでしょうね。
ネタバレになるんで詳しくは書けないんですけど、変わってしまった自分と祖母の関係性をどう描くのか?という点において、まさかのスルーをぶちかましてまして。
誰が「新たなる戦いの狼煙」を上げることに心躍らされるんだよ、って。
アルフォンソ・キュアロンやギレルモ・デル・トロが製作で噛んでるとはとても思えないですね。
残念だが凡作。
アン・ハサウェイが何を見せてくれるのか期待したし、御大ロバート・ゼメキスの熟練の御業にしびれたかったんですが、多分数週間後にはもう内容忘れてると思います。
いっそのことデル・トロ本人が監督やりゃあよかったんだよ、と思わなくもないですが、ハサウェイが半魚人とラブアフェアされても困るんで、それはそれで危険すぎるか。