デンマーク/ドイツ/スウェーデン/ノルウェー 2016
監督 ハンス・ペテル・モランド
原作 ユッシ・エズラ・オールスン
特捜部Qシリーズ、第三弾。
今作より、監督がミケル・ノルゴートより、ハンス・ペテル・モランドへバトンタッチされてます。
なのにあまり作風に変化がない、と感じられるのはどういうことなんでしょうね。
シリーズの印象を大きく変えないよう腐心したのかもしれませんが。
一面の菜の花畑を何度も挿入したり、風力発電機を背景の一部とした海岸線の遠景にこだわったりと、映画らしい演出やスケール感は少し増したようにも思いましたが、それが劇的に何かを変えるほどではなし。
突き抜けたほうがいいのか、このままでいいのかは悩ましいところですけどね。
さて今回、主人公のカール、意外にも弱ってます。
前作、キジ殺しでの事件が予想外にも心身にダメージを与えていた、という設定。
ここは「そうだったんだ」ではなく、それなりの経過を映像で見せて欲しかったところですが、まあ、仕方がない。
裏テーマは宗教。
宗教にからむ連続殺人事件が、アサドの信仰なんかも絡んで、なにがカールを救うのか、にまで迫っていきます。
結果から言うとはっきりした答えは出ずじまいなんですけどね。
そこは次作にまで持ち越されるのかもしれません。
それより私がひっかかったのは、発端は7、8年前に流れ着いた瓶詰めの手紙であるとはいえ、事件そのものがもはや特捜部Qが扱うような過去の事件ではなく、完全に現在進行系になっちゃってること。
これもう、普通に刑事課の事件じゃないの?と思えてくるあたりに特捜部Qが活躍する必要性を感じられない、というか。
まあ、連続もののネタ的に苦しいところなのかもしれませんけどね。
それなりにスリルはあります。
弱ってるカールがふりまわされた挙句、窮地に追い込まれる展開にはハラハラさせられるものがありましたし。
ええっ、結局誰も救えないのかよ!と思わせる、逆転劇への誘導の仕方も上手だった。
けどやっぱりこれは普通に刑事ものだよなあ、と。
いや、良いんですよ、退屈しなかったですし。
112分、あっという間でしたし。
エンディングも印象的だった、といっていいでしょう。
結局、1作目のインパクトが強烈過ぎた、ってことなんでしょうね。
さて、4作目はどうなるのか。
特捜部Qならではの事件に二人が奔走する姿をまた見たい、というのはファンの欲目かもしれません。