アメリカ 2015
監督、脚本 ポール・フェイグ

キングスマンやら007やら近頃とみにスパイものがスマッシュヒットを飛ばしてるみたいだし、便乗して似たようなネタでコメディでもやってみるか、ってなノリだったのでは、と勝手に推察。
まあその、大金が動くわけですからそんな軽い調子で製作決定するはずもないんでしょうけど、 その程度の安直な発想だったと思うんですよ、きっと端緒は。
たいていそういうのって、まあ笑えるけど、一過性のものだよね、で終わると思うんですが、これがどうしてどうして結構本気で作ってきてるから驚いた。
ジュード・ロウにジェイソン・ステイサムという布陣だけでもはや失敗は許されないクラスのギャラが吹っ飛んでるんじゃないかと思うんですが、監督がすごかったのはあえてその二人を脇に据えてメリッサ・マッカーシーなどと言う肉弾兵器を主演にしたことでしょうね。
無難な選択をしてないんです。
あ、こりゃ本気で笑わせにきてる、と私は思った。
やろうとしてるのは身も蓋もない言い方をするなら「燃えよ、デブゴン」。
意外に動けるデブの見た目のギャップを本気のアクションで笑っていただこう、という意図なわけですが、若干特殊効果に頼りすぎだろうと思える部分はあったにせよ、そのおかしさは充分及第点。
なんせ隣に名実とも第一線のアクションスターが控えてるというのに、ご本人、ひたすらボケたおすだけに貶めて、メリッサ中心のアクションをあえて見せようとしてるわけですから、それこそブルース・リーに体をはったギャグをやらせてサモハン・キン・ポーがそれにきつくツッコミつつもシャープに冴え渡る体技で敵をバッタバッタと倒していく、みたいなもの。
逆だし!とつっこまずにはいられません。
これがおかしくないわけがない。
小ネタ満載なのも実にいい感じ。
ネズミやらコウモリやらはいまわるCIAの本部の描写だけで私は腹を抱えたんですが、メリッサをなにがなんでも痛いオバサンに見せようとする扮装の数々も爆笑。
特に出色だったのはこれが映画初出演となるミランダ・ハートのキャラでしょうね。
ステージのラッパーに迫るシーンといい、チーズ臭いとののしられるシーンといい腸がちぎれるかと思った。
監督はオバサン使いの達人かよ、と目尻に涙。
幾分シナリオが右往左往した部分はあったか、と思うんですが、ここまでやられちゃあ文句ありません。
これが日本未公開だなんて信じられないですね。
個人的にはキングスマンよりはるかに面白かったし、コメディとして潔い、と私は思った。
さらなるジェイソン・ステイサムの大ボケを期待して、ぜひとも続編が見たいところ。
傑作でしょう。
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