イギリス 2014
監督、脚本 デヴィッド・エアー
これは格別メッセージ性のない事が、ある意味メッセージになっていたりするのかな、と思ったりもしました。
戦争映画、って重い印象を残すものが多いですが、本作に限っては私、なんかアメコミヒーローものでも見たあとのような感覚に襲われましたね。
第2次世界大戦中の戦争シーンを描く、という意味ではリアリズムにこだわっているなあ、とは思ったんです。
情け容赦なく人がバンバン死んで行きます。
ひりつくように一歩先には死の影がちらつきます。
でも監督が最終的に描こうとしているのは、極限状態における選択肢のない兵士達のヒロイズムであってね、そこに特別思想とかテーマみたいなものは見当たらないんですよね。
極端なことを言えばね、物語の構造的にインデペンデンス・デイ(1996)となにが違うんだ、と。
つまりは戦争映画だけど、とてもエンターティメントだ、と私は感じたわけです。
そういう意味では傑出しているのかもしれません。
もちろん戦場の非情さ、常軌を逸した部分はたくさん描かれているんですよ。
でもそれがこの作品だからこその斬新な切り口、というわけでは決してないんですね。
あとはシナリオですかね。
台詞回しが異様にうまい、と思いました。
それがシーンの底上げにかなり貢献してる。
さて、楽しめる戦争映画、というものが、隣国との火種くすぶる日本において、どう受け止められるべきなのか、ちょっと頭を悩ませる部分であったりもするんですが、質が高いことは認めざるを得ないように思います。
優れた娯楽作品としての戦争映画があるのだとしたら筆頭かもしれません。
そこから導きだされるものが何であるのか、答えは受け取る側次第ですが。