フランス 1997
監督 ヤン・クーネン
原作、脚本 ジョエル・ウサン
当時、結構話題になり、ヤン・クーネンって何者だ、と騒がれたのを記憶しています。
大友克洋や押井守が好き、と公言していたようですが、私はどちらかというと小池一夫の路線か、と思ったりもしましたね。
物語は単純です。
ドーベルマンと呼ばれる男を筆頭とした犯罪集団と、警察の攻防を描いたクライムアクション。
格別手の込んだ仕込みはありません。
なのに異様に面白い。
やっぱり登場人物のキャラが、異様に立ってるのが強みでしょうね。
あんたどこでこんなやり口を学んだんだ?って聞きたくなるぐらいどいつもこいつも個性的。
聾唖役のモニカ・ベルッチを筆頭に、牧師に犬好き、オカマまで登場して、一度見たら忘れられない奴らばかり。
また敵役の警部がですね、これでもか、っていうぐらい嫌なやつなんです。
ここまで嫌なやつはほんと珍しいんじゃないか、ってぐらい極悪。
多分タランティーノと似たようなオタク気質な人なんだろうなあ、と思います。
でなきゃこうはならない。
あけすけに下品で猥雑なのも魅力のひとつ、と考えていいでしょう。
難点はやっぱりどこか尻切れトンボ気味のエンディングでしょうね。
え、これで終わっちゃうの?と私はあっけにとられた。
こりゃ絶対2が発表になるわ、と当時は思ってたんですが、2015年現在まで全く動きなし。
監督はこの作品のことを忘れちゃったかのようにシャネル&ストラヴィンスキー(2009)などという大人な作品を撮っちゃう始末。
どうしたんだ、なにがあった?
まあ、私の一方的な思い込みだから、なにがあった?と言われても困る、って話なんでしょうけど。
この手の作品には今も変わらぬニーズがあると思うんですけどね、冷めちゃったのかなあ、ヤン・クーネン。
私は不完全な印象も含めてかなり好きですね、この映画。
笑いと狂気が混在してる秀作だと思います。
この路線で続けてたら世界的名声も得られたのでは、と思ったりしますが、なんだろうなあ、私の知らない事情があったのかも知れませんね。
今も記憶に目覚ましい作品なのは確かですね。
若い人に見てほしい、と思ったりもしますね。