フランス 2013
監督 ヤン・クーネン
原作 ジャン=クリストフ・グランジェ
ドーベルマン(1997)で名を馳せたヤンクーネンの久々の新作ですが、前作シャネル&ストラヴィンスキー(2009)と同様にかつてのやんちゃな面影は全くありません。
至極真っ当にサスペンス。
ただですね、この作品2枚組みで3時間30分に及ぼうか、というヴォリュームの割にはですね、それほど凝ったことをやってるわけではないというのが戸惑わされる部分でして。
むしろ穴だらけ、と言ったほうがいいかもしれない。
なによりも問題なのは謎が謎として観客を惹きつける演出に乏しい、という点かと思いますが、もっと最悪なのは、謎が一切回収されないまま別のストーリーで物語が結ばれてしまったこと、でしょうね。
見終わって、結局ダイヤの密輸と暗躍する殺し屋ども、刑事の秘密はなんだったんだ、と私は首を傾げてしまいました。
早い話が収拾がついてない。
過剰に説明しようとせず、すべてを映像で伝えようとする心意気はいいと思うんです。
でもやっぱりミステリであるなら、ああ、あのシーンはこういう意味だったのか!とあとから驚愕するような精緻な構成力を私は期待したい。
これだけの尺がありながら何でこうなっちゃったのか、サスペンスむいてないんじゃあ・・・なんて、感想もどうしたって出てきます。
断片的な記憶がフラッシュバックする幻覚的なシーンもちょっと多用しすぎ。
くどいです。
残念ながら凡作だと思います。
やっぱりこの人は下卑たクライムアクション路線のほうがいいのでは、とあらためて思った次第。
本人すら、そんなことはすでに念頭にないんでしょうけどね。