1984年初出 ささやななえこ
ハヤカワコミック文庫

非常に長い間、女の怨念を描いたサスペンス、と思い込んでいたのですが、全くの勘違いであったことが今回の通読で判明。
一体どこであたしゃそのような偽情報を仕入れてきたのか。
さっぱりわからない。
絵柄がレディースコミック風なので男性読者はとっつきにくさを覚えるかも知れませんが、本作、意外にも骨太な伝奇ホラーでありSF。
恐怖の質、煽り方は山岸涼子風なんですが、その先に見すえられたもの、着地点はホラーの枠組みを超え、別の場所に立とうとしていて予断を許さない。
作者本人もおっしゃってるように、風呂敷を閉じれなかった感は確かにありますが、オカルトから神の所在に迫ろうとした本作のハイブリッドさは、当時にして非常に先進的だったのではないかと思います。
似たようなことをやっていたのは諸星大二郎ぐらいしか居なかった気がしますね。
諸星よりスタイリッシュに感じられるのが最大の武器かも。
決して大傑作というわけじゃないんですけど、どこか記憶に残る一作ですね。
その後の主人公オシラの活躍を描いた「化粧曼陀羅・冬の祭り」「オシラ伝」が併録。
その手のファンは一読の価値あり。
コメント
[…] 化生曼陀羅では幾分不透明だったものがここにきて俄然輪郭を帯びてきてますね。 […]