一万十秒物語

1981年初版 倉多江美
白泉社花とゆめコミックス 全3巻

テーマも設定も同じくしない連作ショートショート集。

星新一の文庫本でも読んでるような気になります。

当時のみならず、男性誌を含めても、こういう試みをしてる漫画作品って、ほとんどないような気がしますね。

そもそも需要がない、ってことなのかもしれませんが、だとしても3巻も続けばたいしたもの。

正直オチであっ、と言うような短編はなかったし、どちらかと言えば笑いに走ってるな、って感じなんですが、作者の画力のみに注目するならこういう路線が合ってるような気もします。

エスの開放みたいな人の内面に切り込む作風から、笑いに走るようになった、というのは興味深くもありますね。

熱心に倉多江美の作品を追っているわけではないので断言はできませんが、異形性を排除して残ったのが笑いだった、というのは、それが何らかの答えを導き出してるようにも感じます。

適度に毒があるのがニヤリとさせられる良作。

サクサク読めます。

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