1971年初出 横山光輝
秋田書店少年チャンピオンコミックス 全12巻

おそらく超能力者を主人公とした漫画作品として日本において元祖と呼べる存在なのでは、と思います。
超能力を使えば使うほど老化する、といったルール作りや、バベルの塔に始まる伝奇SF風な設定等、後続にあたえた影響ははかりしれない、と実感するんですが、さすがにですね、今あらためて読むと古さは隠し切れない、というのはありますね。
ただ与えられた役割を果たすがごとく孤独なヒーローを貫くバビル二世も、ただただ悪い奴なヨミも、キャラとしてなにかと記号的だし、醸す勧善懲悪な図式も吹っ切れすぎててかえって醒める。
当初は3ヶ月で終了するはずだったのがあまりに人気が沸騰したため、何度も連載が延長された作品らしいんですが、それもトータリティと言う意味では影を落してます。
ヨミがもうね、不死身かお前は、って言いたくなるぐらい何度も蘇りやがるんですね。
それが結果的にはバビル二世の能力にすら疑いを抱かざるをえないマンネリ地獄へと読者を誘導。
なぜ横山光輝はヨミ以外の敵を創造しなかったのか、不思議でなりません。
編集部の意向でもあったんでしょうか。
設定もプロットも素晴らしいと思うんですが、シナリオがままならない、と私は感じました。
伝説的作品をくさすつもりは全くないんですが、私が少年の頃、胸を躍らせたバビル二世はやっぱりアニメのバビル二世だな、と認識した次第。
ページを開かないほうがいい名作もある、と矛盾した感想を抱いた一作。
コメント
[…] バビル二世の続編というか、スピンオフのような内容。 […]
[…] ただまあ別のページにも書きましたが、原典である横山光輝のバビル2世が実はそれほどよい出来ではない、という事実があるので、そこそこ描ける人なら誰がやってもオリジナル以上になったのかもしれませんが。 […]
[…] 私はこれまで国内においてはバビル二世がエスパーものの嚆矢、と思っていたんですが、この作品を読んであらためて振り返るなら、あれはアメコミの亜流だったんだな、とはっきり言えますね。 […]