1990年初出 永井豪/石川賢
徳間書店キャプテンコミックス全7巻
いわゆる「ゲッターロボ・サーガ」と呼ばれるシリーズの中核を担う作品。
順番としてはゲッターロボ、ゲッターロボGに続く3作目、となります。
このあとに真ゲッターロボ、ゲッターロボアークが発表されてシリーズは終幕。
アニメで慣れ親しんだ人にとってはなじみやすい内容、と言っていいでしょうね。
時代に影響されてか、軍や諸外国との協調が描かれているのが興味深いですが、巨大ロボが敵のロボを粉砕する勧善懲悪な展開はセオリーどおり。
ちなみにテレビアニメ「ゲッターロボ 號」とタイアップして連載が始まった作品ではあるんですが、アニメとは微妙に設定、シナリオが違います。
そこを噛み砕いた上で、石川ファンとしては終盤の展開がやはり読みどころでしょうか。
虚無戦史シリーズにも似た色合いで、ゲッターロボ自体が神格化し、宇宙SFといってもいい観念的な飛躍が描かれてるんですね。
はっきりとしたオチがあるわけではないんですが、巨大ロボットものをまるで別のステージへと引き上げた手腕はまさに石川賢の独壇場。
強引につなげた印象は拭えない部分もあるんですが、私はこの頃の端正な作画でゲッターとその宇宙を読めただけで充分満足。
スカルキラー邪気王のエンディングは実はこうだったのでは、なんて邪推したりもしましたね。
ゲッターにこだわらずやって欲しかった、という思いも少なからずあったりはするんですが、これはこれでおさえておくべきでしょう。
かつてのゲッターロボではアニメに先んじられていたように思いますが、ここにきてゲッターは完全に作者のものになったように思います。
作者、最長連載作品。