1971年初出 小池一夫/芳谷圭児
双葉社アクションコミックス 全8巻
当時、爆発的ヒットを記録し、後に3度の映画化もされた作品。
性描写を前面に描いた漫画のパイオニアとも言われたりしてます。
過激派に名を連ね広域指名手配となった行方知れずの兄を探すために、高校を休学し、全国を放浪する主人公ムラマサの活躍を描いたシリーズなんですが、今読んであらためて思うのは「こんな高校生は絶対居ない」の一言につきますね。
知恵の廻り方、度胸の据わり方、体術の熟練度、行動力、どれをとっても大人顔負け。
しかもムラマサ、行く先々で見知らぬ女性を口八丁手八丁で口説き落として関係を結ぶんです。
しかも後腐れ一切なし。
ありえない、としかいいようがないんですが、そのありえなさこそが時代に求められていた、という事なのかもしれません。
最初は小池一夫なりの学生運動の総決算をやろうとしてるのかな、と考えたりしたんですが、それも巻を重ねるごとにだんだんおざなりに。
中盤以降、ムラマサの女100人切り日記みたいになってます。
兄貴の話題すらほとんどでてきません。
やっぱり読んでて一番つらいのは言葉使いや、セリフ回しの古さ、ですかね。
ラブタッチとかDラインとか、いやもう、なんか凄いな、と。
権威主義的なものからの解放、若者の自由を求める空気みたいなものはガンガン伝わってくるんですが、それ故この作品は70年代に青春時代を過ごした人たちのものであるように思います。
後からどうこう言う漫画じゃないですね。
芳谷圭児の無駄のないシャープな作画は素晴らしいと思いました。
外伝1冊あり。
内容は本作の延長みたいなもの。
ちなみに最後まで兄貴は見つかってません。
というかこれ、完結なんですかね?