漂流

1993年初版 さいとうたかを
リイド社 全4巻

副題にsilent worldとあるので、作者初期の作品、サイレントワールドとなにか関係があるのかもしれません。

本当にさいとうたかをの作品って、ネットをあさっても細かい情報が出てこなくて。

自身の手によるリメイクでは、と思うんですが、自信なし。

宇宙船で150年漂流しながら、いつの日か地球に帰れる日を夢見る、遠い未来の元貨物船乗組員達の子孫を描いたスペースオペラなんですが、私はまず最初の設定に無理がある、と思いましたね。

難破した貨物船が、代を重ねて生き延びるに足るスペースコロニーになりえるはずがないだろう、と。

それが数千人規模、ってどう考えてもありえない。

物語の根幹たる一番肝心な部分を思いつきで組み立てちゃってるので、その後の展開もひたすら絵空事にしか見えなくて。

天体物理学、しいては宇宙科学をちょくちょく無視しながら暴走。

キャラクターの性格設定も失敗しているように思います。

粗暴で単純なジャイアンキャラを救世主に見立てて仲間の舵取りを任せる展開は、感情移入できないばかりか、それを支持する周りの連中がバカにしか見えなくなってくる。

結局、ファンタジーにしたかったのか、それともSFにしたかったのか、という点でブレまくってるんですね。

単純に宇宙を舞台にしたヒロイックファンタジーにしておけばよかったものを、余計なリアルさを持ち込もうとしてよくわからなくなってる、というのが実状でしょうか。

銀河漂流バイファムはよくできてたんだなあ、なんて思ったりもしましたね。

うーん、さいとうたかを、SF向いてない・・・。

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