イギリス/オーストラリア/アメリカ 2019
監督、脚本 エイブ・フォーサイス
幼稚園児たちが先生に引率されて動物園に行ったら、そこにゾンビの集団がやってきて大騒ぎ、ってなホラー・コメディ。
それにしても、手を変え品を変え飽くことなくゾンビ映画作るやつが出てくるものだなあ、と。
枯れた井戸に釣瓶を落とすやつがまだ居たか、と。
いや、まだ全然枯れちゃあいない、と作り手側は思ってるのかもしれないですけどね。
個人的にはもはやゾンビが登場してきてもなんとも思わない状態ですけどね。
怖くもなけりゃ、楽しいわけでもない。
おそらく監督は、ゾンビという忌むべきクリーチャーをハートウォーミングなタッチで料理することが新しいと思ったんでしょうけど、それね、もうゾンビである必要ないですからね。
極端な話、やってることは「園内の危険な猛獣たちが檻から解き放たれて自由に歩き回りだした」ってのと全く変わらない。
それぐらいゾンビが記号化してるし、その存在理由もおざなり。
要は、いたいけな幼児たちが園内に閉じ込められた、さて引率の大人二人はどうやってこの窮地を脱するのか?がやりたかっただけで。
そこにどうしてもゾンビを一枚噛ませたかったのなら、もっとおぞましさや情け容赦のなさを演出することに腐心しなきゃなんないし、目の前の非日常をスリルとギャップで彩らなきゃ意味がない。
なんだかファミリー映画みたいになっちゃってますし。
主人公であるろくでなしのミュージシャン崩れと、か弱い女先生がなりふり構わず命がけで子供のためにゾンビに抗してこそマンネリも違う景色に見えるんであってね、ちょっと張り切ったら無策でもなんとかなりましたじゃあ、どこで盛り上がればいいんだ、って話であって。
少しは新感染(2016)を見習え、と。
せっかくテディという表裏のある人物を危険分子さながら配置してるのに、全く使いこなせていないのにも落胆。
生ぬるい映画、の一言ですね。
ロマコメとしてそれなりの評価をされてるみたいですけど、ホラーファンの立場からするならこれが面白かったとはどうしても言えないです。
せめてもう少し笑いと毒があればなあ、といったところでしょうか。