アメリカ 2019
監督 アンドレ・ウーヴレダル
原作 アルヴィン・シュワルツ
いわくつきの屋敷で偶然手に入れた死者の手記が、関係者に死の呪いをもたらすホラー。
身も蓋もない言い方をしますけど、なんのことはない、これファイナル・デスティネーション(2000)と物語の構造はほぼ同じです。
「手記に新たな物語が書き加えられると、そのあらすじ通りに人が行方不明になる」という設定は、現実を創造性で塗りつぶしていてまあまあ面白かったんですけど、ストーリーの行き着く先が早い段階で読めてしまうのがね、どうなんだろ、と。
どうすれば手記の呪いを回避できるか?という方向にお話は進むしかないわけですから。
またこのパターンか、みたいな既視感はどうしたって拭えなくて。
そもそも原作がですね、全米各地の怖い話を集めた子供向け実録怪異譚ですからね。
膨らませようがないと思うんですよ、いかに手練れなギレルモ・デル・トロ(原案)の業前をもってしても。
結局、本に登場した怪物を動かしてみたかっただけなんじゃないか?といった穿った見方もできてしまう。
多くの子供達にとって挿絵がトラウマになったとか、80年代には保護者から批判が殺到したとか、アメリカでは有名な一冊らしいんですけど、収録されたいくつかの怪談をつなぎ合わせて長編にする、ってやっぱり無理があると思うんですよね。
ま、オチはがんばってた、と思います。
なるほど、そういうパターンで呪いを回避するか、と。
けど、それすらも云うなれば予定調和ですしね。
なぜ全6話ぐらいのオムニバス集にしなかったんだろう、と思いますね。
本の挿絵を担当したスティーヴン・ガンメルのタッチに忠実にね、アニメと実写の中間ぐらいの作風で、レトロな忌まわしさを喚起していたら、きっとかつて本を読んでた人たちは、幼い頃の恐怖が蘇って震え上がってた、と思うんですよ。
おそらく私のような原作を知らない人間も、その方が異端の一冊の凄みは伝わってきたんじゃないか?という気がするんですよね。
ホラーにしては巨費が投じられてる作品ですんで、冒険は許されなかったのかも知れませんけどね。
現代のホラーとして通用するように整合性を意識し、想像の余地をなくしてしまったことが失敗かと。
個人的には「青白い女」の登場シーンがすべてでしたね。
出オチ気味でしたけどね。
アンドレ・ウーヴレダル監督のメジャーデビュー作でもありますが、私は前作、ジェーン・ドウの解剖(2016)の方がはるかに怖かったですね。
監督業のステップアップとしては、ヒットもしたことですし、これで正しかったのかもしれませんけどね。
正直、あまり記憶に残らない一作になりそうです。
デル・トロとウーヴレダルのタッグに期待していただけに残念。