監督 今石洋之
脚本 中島かずき
「天元突破グレンラガン」や「キルラキル」が人気を博した今石&中島コンビによる劇場アニメ。
・・・って、すまん、全く知らない・・・。
なんせ最後に見たTVアニメはエヴァンゲリオンだからなあ・・。
もうね、全然わからないなりに書き進めていくしかないんですけど、 驚かされたのはなんと言っても作画ですね。
私の場合、知識がセル画で止まってるんで、これがCGアニメなのか、それとも融合なのかすらわからんのですが、なんなんだこの下書きをそのまま彩色したような絵は?と。
いや、下書きというのはあんまり正しくないな、一筆書き、と言ったほうがいいかもしれない。
全然デティールにこだわってないんですよ。
音楽に例えるなら、各パートごとに録音したものをミックスしてマスタリングするセオリーを踏襲せず、せえの!で一発録りしたものをそのまま音源化したかのような。
記号化の極北と言っていいかもしれない。
それでいて、各キャラの動作設計やメカ・アクションには精緻な計算があるように思える。
色調の派手さにも頭がクラクラしてきます。
シンプルな線が極彩色で所狭しと暴れまわるものだから、もうなにがどうなってるのか途中でわからなくなってくることもしばしば。
昔、ウォシャウスキー姉妹が監督したスピード・レーサー(2008)を思い出したりもしましたね。
誰かが言ってましたけど、これって、人間の視覚情報処理能力を超えた映像表現なんですよね。
こだわってる、といえばとんでもないこだわりなのかもしれません。
何にも似ていないことは間違いない。
ただ、好き嫌いは分かれると思うんです、全部追いきれないから。
私はどっちかというと苦手。
で、肝心の内容なんですけど、やってることは少年ジャンプmeets巨大ロボです。
意味なく熱血漢な主人公が仲間とともに地球の危機を救う、という一昔前のライトノベルのようなプロット。
自在に炎を操る新人類バーニッシュとの敵対の構図は、70年代~80年代にSFの世界で大流行したエスパー(超能力者)vs人類の物語構造をほぼなぞってる、と言っていいかも。
ま、ティーン向けですね。
おっさんが熱中するようなストーリーじゃない。
製作者側は真相が二転三転するSFアクションに仕立て上げたかったようですが、これもまあ、すべてが予測の範疇というか、大きな驚きにはつながらなくて。
特によろしくないのはエンディング。
二人がどういう理屈と法則性に基づいて地球の危機に抗したのか、ものすごく曖昧なんですよね。
どう考えても主人公、必要ないし。
勢いだけで乗り切っちゃったというか。
ここをきっちり詰めないと物語に説得力が産まれない。
長尺なのにも関わらず「椅子の背もたれに背中をあずけさせたりなんかさせないからな!」みたいな怒涛の勢威があったことは認めます。
ただ、これが面白かったのかどうか?というと微妙ですね。
映像表現の特異性にシナリオが追いつけてない、というのが私の結論。
この先、この人達はいったいどこへ向かうのだろう、という興味はそそられましたけどね。
あと声優に本物の役者を抜擢するのはどうだろう、と少し思いました。
ジブリの手口ですけど、やっぱりね、どうしても顔が浮かんでしまうんで、ことSFの場合、マイナスにしかならない気がします。