1970年初出 手塚治虫
ベッドの中の脚を描いただけで警察に呼び出しをくらった時代を経て、大胆な性描写や裸がある程度緩和されて少年誌に載り出した頃、先生が「こっちは描けなくて控えていたのじゃない、描きたくても描けない時代の苦労なんかおまえたちにわかるものか」と怒り心頭で描かれたのが本作とのこと。
性教育マンガ、なんて言われてますが、それ以前に先生、こりゃあまりにはじけすぎでしょう、と。
設定からしてデタラメなんです。
主人公の体からエクトプラズムみたいなのがでてきてそれがダッチワイフにのりうつる、ってんだから、えーと、あの、対象掲載誌をまちがえていやしませんか、と。
溜まりに溜まった創作のフラストレーションがあったことは伝わってきますが、これはやっぱり暴走だと思う次第。
少年読者は相当戸惑ったのでは、と思ったりもします。
物語の顛末も迷走の末の強引さが目立ちます。
手塚版ポルノ、というと言いすぎかも知れませんがこりゃデタラメだと思う次第。
ちょっと、一旦落ち着いて!と言いたくなる一作ですね。
あ、だから「やけっぱち」?