2010年初出 五十嵐浩一
双葉社アクションコミックス 上、下巻
西暦2057年、木星の衛星を拠点に、外宇宙より突如来襲した謎の侵略者と戦う地球人兵士達の、熾烈な戦闘の日々を描いたスペースオペラ。
いや、びっくりしました。
五十嵐浩一といえば私、ペリカンロードぐらいしか知らないものだから。
こんなスケールの大きなSFが描ける人だったなんて思ってもいませんでした。
また、2010年にこの手の本格宇宙SFが漫画で存在した、という事にも驚き。
ハリウッドですら最近はこんなのやらないですよね。
内容的にはどちらかというと70年代~80年代の作品風。
石川賢の虚無戦記とか思い出しましたね。
妙に懐かしくなっちゃうような感触もあって、ぐいっと引き込まれたのは確か。
きちっと世界を構築していること、デティールがしっかりしていること、ガジェットや設定にも資料集が存在するのではないか、と思えるこだわりがあって、そのあたり、全く隙なしで素晴らしいと思います。
侵略者が一切コミュニケーションのとれぬ異物であり、どうやら拉致した地球人の脳神経を流用した怪物を敵として送り込んでいるらしい、とする設定も先の想像ができないプロットでお見事。
これいったいどうなるんだろう、とドキドキしながら読みすすめてたんですが、愕然の最終話、未完・・・・。
どうも打ち切りっぽいです。
ああ、今はやっぱりこういうのはうけないのか、と心底落胆。
すごいオチが待ってそうだったんですけどね、悔しい限りです。
ウェブでもいいんで結末を読みたいですね。
最近の漫画自体が身のまわりのことを描くか、ファンタジーに二分する傾向にあるんで、こういうSFは貴重だと思いますし、各話の作りこみも相当なレベルにある、と感じましたんで、どこかでなんとか再開を。
年月を経るほど評価の高まる作品になりそうな気がするんですけどね、うーん、残念。