2010年初出 あさりよしとお
徳間書店リュウコミックス 全2巻

小惑星開発に力を注ぐ未来の地球人の姿を描いた近未来SF。
1話完結形式。
宇宙開発における細かなウンチクネタも数々あり、これはおそらく「まんがサイエンス」の血脈を継ぐものなのだろうと思います。
この手の、物語の本筋とは別に科学的解説をあれこれほどこしたマンガって、今はほとんど見かけなくなりましたね。
なにやら妙にレトロというか、かえって新しいというか。
そこにぐっと引き寄せられるものはもちろんあるんですが、やはり大事なのは肝心の物語だろうと。
しかしそこがですね、残念ながら幾分地味。
いや間違いなくSFファンは好きだろうと思うし、私も好きなんですが、あさりよしとおが描くのなら、もうちょっと笑いがあっても良いのでは、と思うわけです。
なにやら妙に生真面目なんですね。
その生真面目さが読者を選ぶような気もします。
それでも巻数を重ねれば徐々に人気も出てくるのでは、と当初は思っていたのですが、あえなく2巻で終了。
ファンのための作品になってしまった印象は否めない、といったところでしょうか。
本当の意味でのサイエンス・フィクションって、もうダメなのかなあ、なんてふと思ったりしましたね。
こういう作品って、今は殆ど見かけないから貴重だと思うんですが、オムニバス形式だったのが仇になったのかもしれません。