1972年初出 松本零士
秋田文庫 全2巻
松本漫画スターシステムにおいて重要なキャラの1人であるトチローがハーロックと絡む作品って、実は本作しかなかったりします。
「宇宙海賊キャプテンハーロック」においてはトチローはすでにアルカディア号の一部になっていたわけですし。
もちろん物語の設定や舞台は全然違うんですが、キャラの性格はほぼ変わってません。
そういう意味では貴重な作品かも。
異色の西部劇であり、同胞を捜して西部をさまよう日本人トチローのルーツを探る旅を描いた一作なんですが、若干四畳半もの的なナンセンスさが目につきはするものの、これがなかなかよくできてるんですね。
シヌノラという敵スパイとおぼしき女も呉越同舟とし、拳銃が絶対的な力である世界で日本刀を振るい、次々とガンマンをぶった切っていくというストーリーは単純に爽快。
拳銃VS日本刀というアイディアも石川五右衛門の斬鉄剣のように荒唐無稽になりすぎず、アクションとして新しい絵だったように思います。
テーマ的には「大草原の小さな四畳半」にもリンクし、あやうくそのマンネリズムも頂戴しかけたんですが、ギリギリのところで回避してきちんとエンディングを結んだのは作者にしては快挙だったと思う。
後年のハーロック、トチロー、エメラルダスの着地点が見えない関係性より、適度にゆるいが破綻せず完結した本作の方が私はなんだか好きですね。
特にラストのトチローの決断は感慨深かった。
むき出しな生身のハーロックとトチローに出会える稀有な一冊。
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