1968年初出 手塚治虫
本作、隠れた手塚少年SFの傑作では、思う次第。
特異な能力を持つ少年達が宇宙人の侵略から月を守るため、タイムスリップする物語なんですが、プロットの独特さといい、スケールの大きさといい、そのアイディアの豊かさには目を見張るものがあるように思います。
重箱の隅をつつくなら、主人公達を戦いに駆り立てる動機づけがいささか曖昧であったり、時間を超えて人材を集めるぐらいの科学力があるならもっと他に闘いの行方を左右する選択肢はあるのでは、と思ったりと、気になる点がないわけではないのですが、それでもですね、多くの漫画が後にヒロイックファンタジーの分野でやろうとしたことのあれこれが本作にはぎっしり詰まっているように私は感じました。
エンディングも秀逸。
まさかこうくるとは、と驚かされました。
あまり人気のなかった作品らしいんですが、まさにSFと呼べる見事な顛末と、少年漫画らしい熱い筆致に私は酔わされましたね。
さすが手塚治虫、と納得できる作品だと思います。
オススメ。