ダンダダン

2021年初出 龍幸伸
集英社ジャンプコミックス+ 1~2巻(以降続刊)

いわゆる妖怪退治ものであり、心霊バトル漫画のくくりで捉えていいんじゃないか、と思います。

もちろんそこには、広く喧伝されているように学園もの的な要素や、ラブコメっぽいアプローチもあるんですけど、そりゃ高校生が主人公ならそうならざるを得ないわな、と思ったりもするんで。

多層的で幅があるというよりは設定上、ごく自然な成り行きだったのでは?と。

ま、心霊と同じ語り口で真正面から宇宙人が登場するのには驚くというか、笑ってしまいましたけどね。

70年代のオカルトかよ!って。

つのだじろうが恐怖新聞(1973~)で、似たような手広さでもって心霊とUFOを並列に扱ってたなあ・・と思わず懐かしむ私は、ああ中高年。

2巻まで一気に読んで、コメディ調の軽いノリをシリアスに展開していく「ストーリーの膨らませ方」の上手さを感じましたし、画力も高い、キャラクターも立ってる、総じてセンスがある、と思ったんですが、なんだろ、歳のせいか既視感を覚える部分が結構ありまして。

やっぱりどこかね、強く80年代が香るんですよね。

この手のポップでキャッチーな心霊ものって、90年代にかけて大流行しましたから。

マイナーどころをあげつらえればキリがないんですが、若い頃の細野不二彦とか、多分全く同じことがやれただろうなあ、と思ったり。

これを新鮮味に欠けるというのは酷すぎる、とは思うんですが「全部わかってしまう」ってのが正直なところでして。

私にとってはなんだかレトロ趣味に映ってしまうんです。

意識的に、わざとやってるところもきっとあるんでしょうけど、それを目新しく感じるのはまだ1周してない若い読者だけだと思うんで。

ついていけないとかじゃなくて、これならもう読んだ、って気になっちゃうんですよね。

あと、ターボババアとかフラッドウッズ(UMA)とかその手の都市伝説まがい(特にターボババアなんて、元々はお笑いネタですからね)を全部心霊で一括りにしてしまうのはどうか?と思いますね。

呪法にせよ結界にせよ、その成り立ちには由来と根拠及び歴史が背景として存在してるはずで、そこに空想の産物を「事実」として強引に放り込んでしまうとすべてに現実味がなくなってしまいますから。

危うさが加速するし、神社で巫女ならなんでも万能なのかよ、ってなっちゃう。

なんか、全部ふざけてるように見えるんですよね。

どうしてもこれをやりたいのなら世界まるごとを最初から作り込む必要があって(呪術廻戦のように)。

都合よく神道や仏教を封殺の手段にしていることが、かえってまがい物感、胡散臭さを助長する結果になってしまう。

そこまで厳しく論考しなくてもいいだろ、って話なのかもしれないですけど、もうひとつ上のステージに行くってことはおそらくそういうことだと思うんで。

怪獣8号が面白かったんで(ここんとこちょっと怪しいが)最近少年ジャンプ+には注目してるんですけど、さすがに藤本タツキレベルはそうそう出て来ないか。

ただ私にとって、80年代の細野不二彦が衝撃だったように、今の若い読者にとってのバイブルがこの作品になる可能性は高いと思うんで、この漫画が大好きな人は私の言うことなんか無視していい、と思います。

ポテンシャルは相当高いと思いますしね。

おっさんが読む時は少しばかりの警戒を。

それだけのことなのかも、結局は。

ところでなぜこの内容でタイトルがダンダダン?

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