K.G.F : CHAPTER 1

2018 インド
監督、脚本 プラシャーント・ニール

貧しさゆえに母を失った男の、闇社会での成り上がりを描くアクション映画。

RRR(2022)が予想外に当たったんで、慌てて買い付けてきたのが見え見えな同類同傾向の作品ですが、難点はCHAPTER1、2合わせて5時間超えの上映時間なことでしょうね。

もう先に書いてしまいますけど、私はCHAPTER1を見終えた段階で全てに頓挫した。

とてもじゃないがこの続きを、あと2時間半も見れない、と投げ出した。

なんだかね、もうあまりにも夢物語過ぎて。

やってることはよくあるマフィアものとあんまり変わらないんですよ。

古いところでいうとスカーフェイス(1983)とか、比較的最近の作品ならブラック・スキャンダル(2015)とか。

貧乏で何も持たないガキがボスに目をかけられて、組織内で頭角を現していくのを追っていくパターン。

欧米の作品と違うのはマフィアであるはずの主人公がなぜか英雄視されていること。

はっきり言って、意味がわからないです。

もう街の人間みんながね「ロッキー(主人公のこと)、お前を待っていた!」みたいな感じで、主人公を称えまくるんですよ。

それこそ待ちわびた王の降臨をついに我々は目にすることができた!ぐらいの大仰さで。

なんせインド映画ですから。

ロッキーを褒めそやすのに微塵の躊躇もなし。

それこそバーフバリ(2015)並みの熱量で歌えや踊れの大騒ぎですから。

いやいや、マフィアの若造じゃねえかよ、お前らの不遇をこいつに救えるわけないじゃん!みたいな疑問は一片も挟み込む余地なし。

なぜあなたはロッキーに心酔しないんですか?バカなの?みたいなレベルで怒涛のお祭り騒ぎなんですよね。

ここまで迷いがないのは逆にすごいな、と思わなくもないんですが、あたしゃネズミ講の集会に顔を出してるわけでも特定の宗教にはまってるわけでもないんで、盛り上がれば盛り上がるほど気持ちはひたすら冷めていくばかり。

またこの主人公、やたらケンカが強くてですね。

はっきり言って、一人一個師団状態。

もう敵が勝手につっこんでいって勝手に自滅してる状態ですから。

お前は伝説の武道家、合気道の塩田剛三なのかよ、ってな有様。

いや塩田以上だな、これは。

あまりに無双すぎてアクションシーンが逆に退屈に見えてくるほどですからね。

それでいてその強さの源泉は何に由来するものなのか、一切説明がない、という。

ヒーローをでっちあげるのにも加減ってもんがあるだろう、って話。

一応ね、金鉱ビジネスであくどく儲ける連中の中に潜入する、というストーリーはあるんですけど、わざわざ潜入しなくても正面突破で壊滅すりゃいいじゃん、できるっしょ、一人でも、と言いたくなるほどの無敵なタフガイぶりでして。

主人公のキャラが超絶すぎるもんだから、なにをやらかそうとも一切の緊張感が感じられないんですよね。

なんだろ、かっこつけすぎで笑うしかないというか、もうこいつの相手ができるのはキャプテン・マーベルぐらいしかいない、というか。

度を過ぎたでっちあげの英雄譚、という他なし。

インドでは大ヒットしたらしいですが、すまん、私はついていけない。

国民性の違い、でかたずけていいものなのかどうかすらわかりませんが、なんだろ、潜在的にインド人は英雄とか真なる王をもとめてるんですかね?

申し訳ないけどこの作品に2時間半費やすなら他に見なきゃいけないものは大量にある、と思った次第。

CHAPTER2で俄然面白くなってくる、という口コミも目にしましたが、うーん、お好きな方たちでどうぞ。

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