THE POOL ザ・プール

タイ 2018
監督、脚本 ピング・ランプラプレング
THE POOL ザ・プール

ワニのいる水深6メートルの廃プールに取り残されたカップルの、決死の脱出行を描いたシチュエーション・スリラー。

なぜ脱出行が決死になるかというと、プールから水が抜いてあるから。

6メートルもよじ登れねえよ!ってことですな。

ちなみにワニは最初から居たわけではなく、後付けです。

近所の施設から洪水のどさくさにまぎれて逃げ出したやつが、たまたまプールにやってきて落ちちゃった、という設定。

いわゆるオープン・ウォーター(2003)系の映画と言っていいでしょうね。

知恵と工夫でどうやって危地から脱出するのか?が見どころになるわけですが、ま、はっきり言って色々ゆるい。

そもそもですね、廃プールに取り残されるくだりからして、結構な大馬鹿野郎ぶりを主人公は発揮してまして。

彼女も同等。

早い話がバカップル。

つまりはあまり共感できない。

アホなのか?と呆れる無警戒ぶりなんですね。

なにか災害に見舞われた時、まっさきに他人へ迷惑かける連中だよ、こいつらは、と冷めた目線でみてる自分が居たりもして。

誰の助けも得られず、プールの底でサバイバルを強いられる展開にもあまりリアリティがない。

飲み水は雨のみに頼って、ろくに食料もない状態で7日間も人間は耐えられないと思うんですよ。

いくら熱帯だからといってスコール頼みで人間は命をつなげるものなのか?という疑問がどうしたって湧き上がってくる。

脱出の可能性がある場所を後半になるまで探らない間抜けぶりもいただけない。

あと、序盤のあるシーンでね、私はどうやって最後脱出するのか、わかっちゃったんですよね。

これ、気づいた人は結構いるんじゃないかと思う。

倫理観に抵触する脱出方法だとは思うんですが、どうせそうするしかないのであれば、命の重さを天秤にかけることを問う、ぐらいの道義的挑戦をやってほしかった。

なんだろ、おおらかなスリラーって感じですかね。

デティールや追い詰められた心理状態をこだわって描くよりも、単純に「ワニやべえ!」みたいなところで楽しんでください、みたいな。

あまり世界的な話題になることのないタイ映画にしてはよくできてる方なのかもしれませんが、まだまだ改変の余地はあり、といったところでしょうか。

降って湧いたような災難を演出できなかった時点で色々しくじってる気がしなくもありません。

ちなみにCGは思ったより良く出来てて、すごいなあテクノロジーの進化は、と感心したんですが、それ以外は記憶から消えてしまうのも早そうな感じですかね。

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