アフリカン・カンフー・ナチス

2020 ガーナ/ドイツ/日本
監督 セバスチャン・スタイン、ニンジャマン
脚本 セバスチャン・スタイン

まあ、見る前からある程度予想はしてましてましたが、どうしようもないクソ映画です。

いや、クソ映画はクソ映画なりにね、笑わせてくれるかな、と思ったんですけど、悲しいかな監督に全くユーモアのセンスがなくて。

いや、これはユーモアを盛り込もうとしてない、というべきか。

あふれんばかりのカンフー映画愛は十分伝わってくるし、オマージュやらリスペクトやら蹴躓かんばかりに全編転がってるんですけどね、笑い無しでこれを楽しめ、というのはいくら好事家でも相当きついんじゃないかと私は思いますね。

だってあまりにも荒唐無稽なもんだからさ。

ま、ヒトラーが人知れずガーナに亡命していた、までは100歩譲っていいとしよう。

ヒトラーの死体は生身で確認されてない(ガソリンで燃やされたものは赤軍兵士が回収してるけど)ですしね、そこから想像をふくらませるのは他の多くの物語作家もやってますし。

でも、そこに東條英機がくっついてくる、ってどうなんだ?と。

じゃあ東京裁判で死刑宣告されたのは誰だったんだよ、って。

さらに二人が共謀して結社化し、天下一武道会を開催するくだりに至っては、もう中坊の妄想レベル。

コロコロコミックでもそんなプロット許さんわ。

こんなの、真面目に見てられる方が頭おかしい、って話でね。

バカ映画はバカ映画なりにドレスコードってのがあって。

監督は大真面目に本気で撮ってるんだけど、世間一般から見ればひどくズレてた、ってのならまだ可愛げもあるし、許容できる。

確信犯的に徹底してパロディ化したが、結果スベってた、ってのも意欲は買う、と納得できなくはない。

この作品の場合、そのどちらでもないんだもの。

ただ監督が自分のやりたいことを乱痴気にやらかしてご満悦なだけ。

誰に向けて撮ってるんだ、と。

たった84分の映画なんですけどね、まだ終わらないのかよ、と終盤あくびがもれたのはシャークネード(2013)以来だ。

また、出演している役者さんたちの身体能力が無駄に高いのがなんとも脱力で。

ちゃんとした映画に出てたら普通に評価されただろうに、と思うと哀れで仕方ない。

まさかこんな風に仕上がるとは思ってなかったろうなあ、彼らも。

カンフー映画バカにしてんのか!と怒る人がいてもいいぐらいのレベルで時間の無駄でしたね。

これを楽しめる余力は私の人生においてないなー。

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