2019 アメリカ
監督 マイケル・ベイ
脚本 ポール・ワーニック、レット・リース
1億5千万ドルもの巨費を投じて制作されたNETFLIXオリジナル映画。
いかにマイケル・ベイ監督とライアン・レイノルズのタッグとはいえ、こんなに金をかけても大丈夫なのか?とマジで思いますね。
回収できるのか?と。
最近NETFLIXの業績も怪しくなってきたから「あー、あん時マイケルにあんなに金やるんじゃなかった・・・」と上層部は後悔してるんじゃないか?と勘ぐったり。
余計なお世話でございますな。
しかしまあ、今になってマイケル・ベイかー、と私なんかは思わなくもなくて。
身も蓋もないことをいうなら、ぶっちゃけ旬は過ぎてるだろう、と。
若い人なんかはかろうじて「ああ、トランスフォーマーの人ね」みたいな認識じゃなかろうか、と思いますし。
ここ数年は制作側に回ることも多かったですしね。
ま、NETFLIXはその手の「知名度は高いが現在メガホンを握る機会にあまり恵まれてない人」にスポットを当てるのが得意ですから、常套手段といえば常套手段なんですけどね。
で、たいていそう人たちが撮ったNETFLIXオリジナル映画って、あんまり面白くないんですよ。
もうね、この際結論から書いてしまいますけど、本作もどっちかといえば先行作品と同じ轍を踏んだ「なんだか今ひとつぱっとしない映画」になっちゃってる気がしますね。
確かに前評判を裏切らぬ派手さで、アクションももりだくさんで、マイケル・ベイらしい見せ場もたっぷりな娯楽作に仕上がってることは間違いないんですけど、なんかね、やってることが80年代のままなんですよね、監督。
的確な言い回しじゃないとは思うんですけど、どこかバブリーとでもいうか。
新しい器に昔ながらの味付けの伝統料理を盛ったような感触がある。
やっぱりアクション映画もここ数十年で大きく進化してますから。
ワイルド・スピードシリーズみたいな金太郎飴的例外もありますけど、ジャンル映画というわけでもない、なにかに特化しているわけでもない、手札はマイケル・ベイという大看板だけ、という状態ではなにかと厳しいように私は感じましたね。
相変わらずシナリオが大味で現実味ないのもマイナス点。
今どき独裁国家相手に私費を投じて正義を執行する資産家とか、異世界にでもいかなきゃ居やしない、って話で。
しかもそれがライアン・レイノルズって、私はどう考えてもミス・キャストとしか思えない。
もうね、どんなにスリリングな場面でも、お話そのものが荒唐無稽だから全部茶番に見えてくるんですよね。
終盤の、強力磁石が発動するシーンは極端さを絵にする面白さがあってそれなりに楽しめましたが、それも潤沢な資金があってこそのシークエンスであって、アイディアそのものは決して新しいってわけじゃないと思いますし。
とりあえず127分が私にはとにかく長く感じられましたね。
やれることは全部注ぎ込んだ、ってな感じの大作だとは思いますが、スリルと興奮も最低限のリアリズムと時代相応のアップデートがなされてないと辛い、ってのを痛感した次第です。
これがせめて遅くとも90年代に発表されてたら評価も全く違ったと思うんですが・・・。
何も考えない分には良いんでしょうけど、考えないことを自分に強いるのもいい加減飽きてきた、ってのが偽らざる心情でしょうか。
あの頃のベイが帰ってきた!と喜べる人たちの間で楽しまれれば良いかと。
私はもういいかな、こういうのは。