ジェミニマン

アメリカ 2019
監督 アン・リー
脚本 デヴィッド・ベニオフ、ビリー・レイ、ダーレン・レムケ
ジェミニマン

DIA(アメリカ国防情報局)にやとわれている凄腕スナイパー(51歳)が、若い頃の自分(23歳)に狙われて命のやりとりをする羽目になるお話。

狙われる理由は一言で言うなら組織の都合。

よくある話です。

で、23歳の自分ってなんなんだよ?とみなさん不思議に思われることでしょうが、これDIAの上層部の一人が極秘裏に計画して研究所で誕生したクローンなんですね。

クローン部隊を作りたいがための実験第一号、というわけ。

お試しと実践を兼ねて、言う事聞かないじじいをお前が処分しとけ、みたいな感じです。

あたしゃてっきりLOOPER(2012)のようにタイムスリップしてきたのかな?と最初は考えてたんですが、時間SFどころか、よりにもよって情報局極秘のクローンですよ、あなた。

なんだろ、自分対自分とか、クローンとか、絶望的なまでのネタの新鮮味のなさに制作陣はなぜ気づかないんだろう、って思うわけですよ私は。

いったいどれほどの数の類似作が溢れかえってるか、チェックし直すのすら嫌になるほどだ。

ジェミニマン、ハリウッドで長年眠ってた企画だったらしいんですけどね、なんでそのまま眠らせておかなかったんだ、と。

はっきり言いますけどシナリオに心躍らされる展開は皆無です。

既視感満載というか、むしろ古くせえとすら思う。

恐ろしく盛り上がりません。

特にエンディングの都合の良さなんか失笑が漏れるレベル。

ただですね、この映画が厄介なのは、クソつまらねえで済ませられない斬新な映像に対する取り組みがあることで。

映画は毎秒24コマで撮られるのが普通なんですけど、なんと毎秒120コマの4K3Dカメラで撮影ときた。

ハイフレームレートというらしいんですけどね、この技術で撮影されたアクションシーン、とんでもないです。

上映できる映画館がない、と言われるほどの最新技法なんで、私が自宅で見てる分にはその魅力も半減してることでしょうけど、それでも唸らされたんだから大したもの。

なんだこのリアルすぎる質感とスピード感は!!と腰抜かした。

間違いなく映像革命と言われたマトリクス(1999)の上を行ってます。

さらに驚かされたのが、主人公の若い頃を演じているのが役者ではなく、CG合成であるという事実。

えっ、これ生きてる人やん・・・!と目が点。

どこからどう見ても生身の人間にしか見えない。

表情はウィル・スミス本人がモーションキャプチャーで演じてるらしいんですけどね、だとしてもこれは出来すぎだ。

もう役者、いらないじゃん・・・とあっけにとられた。

この先、映画はどうなるんだろう・・などと、内容とは無関係なことに思いを馳せてしまいましたね。

コストの問題があって現時点では広く流用できないらしいんですが、これが汎用化されたらもう何が現実で何が虚構なのかわかんなくなると思いますね。

アニメと実写の境目とか存在しなくなるかもしれない。

・・・ついていけるのか俺、と少し不安になったり。

つまんない映画なのは確かなんですけど、こと映像に関しては「嚆矢たる一作」と後世に語られる作品かもしれません。

そういう意味で映画ファンはチェックしておく必要があるかも。

ここから時代がかわるのかもしれない、と思わなくもありません。

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