めまい

アメリカ 1958
監督 アルフレッド・ヒッチコック
原作 ピエール・ボワロー、トーマス・ナルスジャック

高所恐怖症を患ったせいで退職を余儀なくされた元警察官が、友人の頼みで友人の奥さんの素行を調査することになるが、そこには人知を超えたミステリが・・・ってなサスペンス。

前半の展開は見ごたえたっぷりなものの、いささか題材の古さを感じたりもします。

というのも友人の奥さんマデリン、どうやら自殺したひいおばあちゃんの霊に取り憑かれてるみたい・・ってなお話の進め方をするんですね。

ひいおばあちゃんって・・・。

なんで突然今になってばあさんがひ孫に祟るのかもわからなければ、なぜひ孫がひいおばあちゃんと同じ行動をなぞろうととするのかもよくわからんわけです。

マデリンの奇妙な行動を心霊現象で納得させるには、因果関係がさっぱり見えてこない。

きっかけなり、原因なりをまるで追求しないんですよね。

そりゃもちろん見てる人は「そんなわけない」とわかってるわけですが、「ひょっとしたらこれは怪異なのかもしれない・・」と心のどこかで危ぶむ不可解さがあってこそのミステリなのであって。

いや、そりゃないわ、と最初から冷めた目で流されちゃうと効果も期待できないですよね。

これはもう時代という他ないのかもしれないですけどね。

霊だとかおばけの定義すらあやふやだったでしょうから。

ガールフレンドであるミッジとのやりとりとか、それ以外の見応えはたっぷりなんですけど、私の場合、霊云々が胡散臭すぎてのれなかった、というのは確実にあった。

さらに引っかかったのは、中盤ですべての真相をあからさまにしてしまう点。

これ、賛否両論あるんでしょうけど、私は最後まで引っ張ってほしかったと思いますね。

以降の展開が「検証」になっちゃうんですよね、これだと。

どうしたってテンションが下がってくる。

ラストシーンの偶発とでも言うべき幕切れも疑問。

下山途中で足を滑らせた、みたいなオチだと、登頂の喜びも色あせてしまうわけです。

結局、ラブロマンスとミステリを同時にやろうとして山場を別々に配置したのが失敗、というのが私の結論。

革新的な映像技術が取り沙汰された本作ですが、内容がそれに見合ってない、というのは辛辣すぎるでしょうか。

しかしそれにしても主人公のジョン、なかなかのくせ者だと思いますね。

人妻に恋してこの顛末か、と思うとカウンセリングが必要な案件なんじゃねえか?とすら思えてくる。

ジョンの思い込みの激しさに焦点をあてて掘り下げたほうが面白くなったような気もしなくはありません。

ま、ヒッチコック自身がめまいを失敗作と認めている、とかいう記事をどこかで読んだ気もするんで、要はそれほどの問題作、ということなんでしょうね、きっと。

余談ですがデ・パルマの殺しのドレス(1980)は相当本作に影響されてるな、と思ったりしました。

私にはこの映画が最高傑作と言われる所以が、ちょっと理解できないですね。

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