イコライザー2

アメリカ 2018
監督 アントワーン・フークア
脚本 リチャード・ウェンク

イコライザー2

信じるは己の正義感のみ、という危なっかしくて仕方のない殺人機械が再び大活躍の第2弾、4年ぶりの続編でございます。

基本、前作とは大きく何も変わってません。

読書家の温厚そうな壮年男性という外見とは裏腹に、裁けぬ悪は自らの手であの世に送る、というジキルとハイドも真っ青な二面性もこれまでどおり。

ちょっとぐらいは自分の行動に疑問を持ってくれてもいいんだよ?という私のか細い声などまるで聞こえん、とばかりに今回も悪人をばっさばっさと撫で斬りです。

今、ふと思ったんですが、この映画って、時代劇全盛の頃にテレビで氾濫してた「破れ傘刀舟悪人狩り」とか「木枯し紋次郎」とか、あの手の勧善懲悪ものに構造的には似てるような気がしますね。

法や人権なんざ知ったことか、悪行には死で報え!とばかり、簡単に人をぶっ殺す躊躇のなさとか、ね。

そうか、これ、現代劇でやるからなんだか違和感を感じるんだな、と今さらながら気づいたり。

ルール無用で自由度の高い時代劇なら主人公の隠しきれぬ不気味さもすっきり取り払えたか、と思うんですが、アメリカが舞台で時代劇となると西部劇にするしかないでしょうし、それはそれでまたちょっと質感が変わってきますね。

うーん、困ったものだ。

まあ、いいんだけど。

いいのかよ。

ただね、今回、少しばかり歯切れが悪いかな、と思った点もあって。

なにが?って、主人公ロバートの直面する事件が自分の過去、CIA時代にまつわるものであったから、なんです。

これ、乱暴な言い方をするならジェイソン・ボーンシリーズと同じになっちゃうんですよね。

この題材でロバートを暴力のスペシャリストとして成立させようと思うと「今も昔も変わらぬ天才工作員」として本人を特別に演出してやらなきゃならない。

素人に比べりゃ無敵だが、実態は引退したロートル、じゃ駄目だと思うんですね。

で、それを監督、やってないんです。

なので「とにかく無敵の圧倒的強者」というお約束にも近い神秘性でしか主人公を測れなくなる。

「力の論理」が物語が進むにつれ、崩壊していくんですよね。

これはのれない。

2作目にしていきなり過去を持ち出してくる、という展開も少し早すぎるような気がしましたし。

正義とはなにか?みたいな哲学的命題を期待できないのだとしたら、観客が求めるのは七面六臂な仕置人としての大活躍のみ、だと思うんです。

そこが若干詰めきれてなかったかな、と思いますね。

こういうシリーズの場合、焼き直しと言われようと、もう一度同じことを舞台と設定をかえてやる、ぐらいでちょうどよかったと思いますね。

悪くはないんですが1作目ほどのカタルシスは得られない、というのが実状でしょうか。

質は落ちてない、と思うんですけどね。

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