イコライザー

イコライザー

アメリカ 2014
監督 アントワーン・フークア
脚本 リチャード・ウェンク

80年代に放映されたテレビドラマシリーズ「ザ・シークレット・ハンター」を映画化した作品。

オリジナルに関してはその存在すら知らなかったので、比較検証はできないんですが、映画版のみで語るなら、さしずめ「法の網にとらわれぬ現代版必殺仕置人」って感じですかね。

主人公は元CIAの工作員、ロバート・マッコールという壮年の男なんですが、このオッサン、温厚そうな外見とは裏腹に、非合法な暴力沙汰に手を染めることを全くいとわぬ人物でして。

一応、警察沙汰にならぬよう最低限の配慮はするんですけどね、まあ、普通じゃないです。

物語では顔見知りの娼婦を足抜けさせようと、マフィアの事務所に主人公自ら交渉へと出かけるんですが、話し合いが決裂すると判断するや否や、いきなり「19秒」と独白。

なにが19秒?と思いきや、突然事務所に居たマフィアを目にも留まらぬ早業で全員皆殺し、ときた。

いや、もうね無茶苦茶ですわ。

スプラッター・ムービーの連続殺人鬼ですらもうちょっと状況を伺うんでは?と思えてくる確信犯的非道ぶり。

なにが怖いって、超越した殺人技術をもつ人間凶器みたいな人物が、殺しに対する禁忌を完全に欠落させてることにあって。

これね、一歩間違えたら無差別テロの実行犯とほぼ同義ですよ。

しかも組織に属してるわけじゃないから、誰を殺して誰を殺さぬかはすべて本人の正義感による、ときた。

こんな危なっかしいオッサン、社会に放置しておいていいのか、とあたしゃ震え上がった。

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だって主人公を縛るものがなにもないんですもん。

主人公が「悪」と判断したら、もう覆ることなくぶっ殺されちゃうわけですから。

しかもCIAの上層部はそんなロバートの非合法な世直しを黙認してるっぽい。

そりゃ、作中では誰が見てもこいつが悪い、と思える人物にしかロバートは裁きを下してません。

けど、他者の命を絶つ判断を、個人の見解に全部丸投げしてる段階でどう考えてもアウトだろうと私は思うんですよね。

例えばこれが「悪人とはいえ殺しちゃうと自分も追われる羽目になる、けれどこの悪行を見逃すことなんて俺にはできない」と言った風な、リスクを背負う覚悟の上での苦渋の決断なら少しは素直に同調できたかもしれない。

違いますしね。

ロバート、何十人とぶっ殺しておきながら、翌日にはしれっと普通の日常を謳歌してますし。

そんじょそこらのサイコキラーでは太刀打ちできぬくらいの鉄面皮ぶりであり、自らの二面性を矛盾と感じぬ人格障害者じゃねえかよ、ロバート!って。

やっぱりね「正義の独善性」に誰一人として疑問を挟んでいない、疑問を投げかける様子もない、ってのがこの映画の怖さだと思うんです。

いいのか?これ、素直に支持しちゃって?と私なんかはどうしてもひるんでしまう。

ただ、だから面白くないのか?というと、これが真逆だからタチが悪くて。

まともに対処してたんじゃあ裁けぬ悪に怒りの鉄槌を下す、というシンプルなカタルシスを前面に押し出してるもんだから、普通にスカッとするし、最後には良かったね、と思えてしまうんですよね。

言いたくなるもの「19秒」とか。

商業映画のプロフェッショナル、フークア監督らしい一作だと思いますね。

私の感覚では、実質ホラーなんじゃないのか?この作品?と思ったりもするんですが、楽しめる要素は余すところなく散りばめられているだけに、ケチをつけたくてもそれが通らない質の高さがある感じですね。

困った映画だ。

うむ、続編も見るかな。

見るのかよ!

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