ホタルナ妖

ホタルナ妖

2006年初出 松本零士
講談社KCDX

コミックボンボンに連載されたSFファンタジー。

えっ、松本零士が幼年誌?と驚かされるのも束の間、やってることはいつもと全く変わりません。

この場合「いつも」ってのは「999以降」という意味で、ですが。

とりあえずですね、小学校低学年以下相手の漫画誌で「相対性理論に基づく絶対速度以上の速さで移動するから時間は経過しない」とか、わからないから、それ!って話で。

もう全然加減できてなくて。

主人公二人組は10歳前後ぐらいかなあ、って感じなんですが、まさかその設定だけで「これで幼年誌はOK」と思ってるんじゃあるまいな、と。

お話の内容も相変わらず。

メーテル(ホタルナ妖)みたいなのが突然地球に現れてですね、子供二人をかっさらって、見知らぬ他所の惑星をあなた達の「心の力」で救ってほしい、と言うんですね。

そのために「まずはあなたたち二人を昆虫人間に変身できるようにしてあげますね」と人体改造。

よし、後は任せた、って、あんた滅茶苦茶やがな、と。

お前が自分でやらんかい!と怒涛のツッコミが一斉に聞こえてくるかのようだ。

そもそも昆虫人間、という発想自体もよくわからないですし。

なんだろ、昆虫物語みなしごハッチ(70年代のTVアニメ)的な世界観を宇宙を舞台に蘇らせようとしたんですかね?

きっと違うね、うん、インセクトとか、あの辺だね、きっと。

いまだかつて作者の昆虫漫画は大きく成功した試しがないけどね、うん。

挙げ句には主人公二人になにか大活躍させるわけでもなく、じゃあ援軍も来たことだし、地球に送ってあげますね、ときた。

完全に手癖だけで描いてる、って感じです。

手癖ってのは松本ファンタジーの物語様式のことですけどね。

松本零士はどうしようもなく立ち止まってしまったなあ、という印象ですね。

藤子F不二雄が晩年には「もうドラえもんみたいなのしか描けない」と独白したように、作者も、何を描いても999みたいになる状態に陥っちゃってるように思います。

とても幼年誌向きの内容とは思えない点から、従来の松本ファンにもアピールしうる一作だとは思いますが、完全に金太郎飴状態なのを今も受け入れてもらえるのかどうかはわかりません。

私はもういい、と思った。

どうせ同じことをやるんなら999エターナル編の続きを描いてくれよ、と思った次第。

こうなったら、ちばてつやや水木しげるのように、自伝風エッセイ漫画でも描いた方が晩節を汚さない気がするんですが、どうでしょうね。

2006年の時点ではそういう流れは業界になかったかもしれませんけどね。

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