1993年初出 望月峯太郎
ミスターマガジンDX 全1巻
ありゃっ、こういう方向へ行ってしまうの?と少なからず戸惑った作品。
作者はきっとSF/ホラーの方向へ進んでいくに違いない、と勝手に思ってたんで、至極映画的なクライムアクションに舵を切ったのは意外でしたね。
絵柄があんまりマッチしてないのでは・・と思ったりもしたんですが、後に映画化されたことを鑑みるなら、これはこれで読者に受け入れられてたのかもしれません。
やってることはシンプルに日本版ボニー&クライドみたいなもの、です。
そこに大きな意外性はない。
別に望月峯太郎がこれをやらなくても・・と思う部分もないわけではないんですが、まあ、作者本人も色々試してみたかったのかもしれません。
バタアシ金魚(1985~)以降、どの作品も短命に終わってますしね。
ただ、本作がよろしくないのはオチ不在なこと。
投げっぱなしというか、エンディングを演出できなかったというか。
これをね、中途半端に評価しちゃいかんと思うんですよ、私は。
なんとなく代表作の一つであるかのようにカウントされてますが、全然終わってないですからね、この物語。
知らない人が読んだら「えっ、打ち切り?」「雑誌が休刊したの?」と思われかねない。
元ネタを想起させるようなベタベタなラストシーンでもいいから、きちんとケリをつけるべきだったと思いますね。
こういうのが一番モヤモヤするんですよね。
意外と手広くやれることを世に知らしめた意味では作者にとって分岐点となる作品かもしれませんが、今読み返してみてなにか大きな発見があるような内容ではないと思います。
派手なバイオレンスとロマンスがケレン味たっぷりにぐつぐつ煮立ってはいますが、結局どこへも行かなかったし、着地点も不在だった印象ですね。