1991年初出 伊藤潤二
朝日ソノラマハロウィン少女コミック館

<収録短編>
ペンフレンド
橋
サーカスが来た
蜂の巣
地図の町
首のない彫刻
なんかもう、この世の風景と思えん、と初読時震え上がったのが「橋」。
山奥の集落にのみ伝わる特異な祭祀の話、と思わせておいて、いざ読み終わってみればただ忌まわしく昏い悪夢でしかないという異想の名品。
「蜂の巣」の気味悪さも尋常じゃなし。
蜂の巣の中にあのようなものを入れてしまう発想がもう普通じゃない。
「地図の町」は後に発表された「道のない街」のプロトタイプといった印象。
道のない街をご存知の方にとっては興味深い一作かと。
押切異談シリーズも一編収録されてますが、秘めたる狂気がこぼれだす秀作で読み応えあり。
総じてなかなか充実の一冊、といえるんじゃないでしょうか。
個人的には表題作「首のない彫刻」が一番凡庸に感じられましたね。