メガロポリス

アメリカ 2024
監督、脚本 フランシス・フォード・コッポラ

架空の大都市、ニューローマを舞台に、理想の未来都市メガロポリスの実現を志す建築家と、現実主義な市長の対立を描いた政治劇であり人間ドラマ。

コッポラはこの作品を共和政ローマ時代に起きた「カティリナの陰謀」に着想を得た、と言ってるんですが、そもそもですね、カティリナどころか共和政ローマ自体を私は詳しく知らんわけで。

自らの浅学を恥じ入るばかりですが、学生の頃から世界史は苦手だったんで今更どうにかできるものでもなく。

ま、この作品を見てですね、好奇心が刺激されるようなことがあればちょっと学んでみようかな、という気にもなったかもしれませんが、残念ながらそのようなことにはならなくて。

ああっ、もう結論書いちゃったよ。

そうなんです、つまらなかったんですよね、結局のところ。

もちろん、共和政ローマのことを知らないからつまらなく感じられるんだ、というご指摘はあるでしょう。

でもね、作中でそれとなく説明するというか、悟らせる作り方も可能なわけで。

突き放しちゃってるもんなあ、コッポラ。

わかるだろ?ついてこいよ!で、あっという間に1時間経過。

で、その間に私が理解したことといえば、なんか抽象的で観念的なセリフ回しで饒舌な主人公が市長の娘をかどわかした、ぐらいのことで。

1時間かけて弁舌ふるった割には着地が色恋かよ!と唖然。

そもそもね、主人公といい市長といい、結局何がやりたくて何が障害になってて、何が気に食わなくて、どこまでなら妥協できるのか、全然見えてこないわけですよ。

お互いに言いたいことを言い合ってるだけ。

子供のケンカ並みに建設的じゃない。

だから夢の新都市メガロポリスの実現を!とか言われても全然響いてこないし、だいたいたかが建築家風情がなんでそこまでカリスマ視されてんのかもよくわからなくて。

すべてが断片的なんですよね。

想像の余地があるといえば聞こえはいいが、私はこれを物語が流れにのってないと見る。

脈絡なしに勝手に物事が進行していくんです。

それでいて中途半端にSF的要素を付け加えたりするもんだから、ますますわけわかんなくなっちゃってて。

コッポラ、何を思ったのか、なぜか主人公に時間を止める能力があるんですが、これ、ほんと物語に必要とされてなくて。

本来なら時間を止める能力とか、SFの世界じゃ最強ともいえるスキルであって。

これがジョジョならザ・ワールドで宿敵ディオも轟沈ですからね。

それほどの能力を主人公は自らの目的に利用せず、一人遊びに興じる始末。

もうね、素材を上手に扱えないならSFに手を突っ込むな、と。

劇中に登場する建築用の新素材、メガロンにしたってそう。

なんだか伝説の金属オリハルコンみたいな扱いになっちゃってるけど、人体の修繕にも使える神のごとき物質とか、もうファンタジーだからね、それ。

たとえSFと言えど、現実的解釈から飛躍した空想が過ぎると、幼稚なおとぎ話になっちゃいますから。

冒頭で寓話である、みたいな能書きを加えたのは、決してそういう意図があってのことじゃないでしょうし。

100歩譲って、フェリーニのように物語の解体をやりたかったのだ、と考えたにしても、今度はエンディングが足を引っ張ってくる有様でして。

正直、呆れましたね、私は。

なんだこのご都合主義の極みみたいな顛末は、って。

さんざん観客を上下左右にぶんぶん振り回しておきながら、最後は降って湧いたようなハッピーエンドって、いったいどこから圧力かかったの?と私は思わず勘ぐってしまった。

圧力かかるわけないんですけどね、コッポラが私財投じて作ってる作品だから。

80歳を超えた大監督にこんなこと言いたくないんですが、この手の物語を編む適性がない、としか言いようがないですね。

なんだろ、夢見ちゃってるんですよね、自分一人で。

辛辣なことを言うようですが、いくら大仕掛けで金をかけたところで、昨日見た夢の話なんて、周りの人間は面白くもなんともないわけで。

コッポラと言えば地獄の黙示録(1979)とゴッド・ファーザー(1972)、カンバーセーション(1973)ぐらいしか見たことがない私が言うのもなんですけど、この人は70年代から全然変わってない、と思ったりもしました。

そりゃ大コケするのもやむなし、と思った一作でしたね。

せめて現代劇ならもうちょっとなんとかなったかもなあ。

なんでSFにしようと思ったのか、コッポラ。

ちなみに私が唯一印象に残ったのは、中盤の空中ブランコが登場するパーティタイムのシークエンスぐらい。

狂騒的で迫力あったと思います。

なるほどローマか、と一人ほくそ笑む。

まだ、こういう絵が撮れるんだ、と少し感心。

それぐらいかな。

あと、本作はフリッツ・ラングのメトロポリス(1926)へのオマージュでもある、と監督は言及してますが、私はあんまり共通点を見出せませんでしたね。

ねじレート 59/100

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