2024 アメリカ
監督 ジョージ・ミラー
脚本 ジョージ・ミラー、ニック・ラザウリス
フュリオサのキャラクターが思ってた以上に立ってなかった、というのはある
マッドマックス 怒りのデスロード(2015)で人気を博した女戦士フュリオサの、幼少期からイモータン・ジョーにとらわれるまでを描いたスピンオフ。
いやーもう、わかっちゃいたが、今回も砂煙を上げて砂漠の終末世界でドンパチでございます。
マッドマックスと同一世界観での物語だから、当たり前っちゃー、当たり前なんですけど全くぶれてないですね。
怒りのデスロードからすでに9年も経過してるだなんて、とても思えない変わらぬ絵面で、ぶっとんだキャラクターたちが大活躍で。
こういう作品ってね、一歩間違えると一直線でバカ映画になっちゃうと思うんですよ。
はっきり言ってシナリオだけに注目するなら、それほど手が込んでるわけでもない予測のつく復讐譚でしたしね。
何かを暗示するような台詞回しがちょくちょくあるんで、その背景を掘り下げて考えてしまいがちですが、いや、ちょっとまて、こんな頭の悪そうなコスプレしてるやつに言われたくねえわ!と我に返ることしばしばだったんで、ま、そこはちょっとしたギミックがお上手、で片付けておけばいいんじゃないか、って。
フュリオサの生きざまに高いドラマ性や常人離れな才覚があったわけでもないですしね。
じゃあやっぱりバカ映画だったんじゃないか!と言われてしまいそうですが、そこを紙一重で回避してるのが本作の魅力でしょうかね。
なんだろ、冒頭の、単騎でバイクを追う村の女のシーンからして、ひりつくように生々しいんですよね。
派手だとか勇猛な演出がすごいとかじゃなくて、追うものと追われるものの現実を上手に突きつけてくる、というか。
いや、相変わらず遊び心満載ではあるんですよ、例えばディメンタス将軍の乗る馬車もどきなバイクとか「どうやってアクセルふかすんだよ!」とつっこむしかなかったりはするんですが、バイクがトレーラーを囲んで攻撃しだしたりするとね、なんだか妙に迫真性が高まってきたりするんですよね。
こういう絵ズラって、マッドマックス以外であんまり見ないよな、と思ったりもする。
正直ね、中盤以降ぐらいからだんだん飽きてくるんですよ。
もうずっと砂漠だし、ディメンタス将軍は小物すぎて小賢しいし。
あーやっぱりマックス不在で代わりがマイティ・ソー(クリス・ヘムズワース)と知らない女優さん(アニヤ・テイラー=ジョイ)じゃあ存在感薄いなあ、なんでシャーリーズ・セロンおろしたんだよ、などとつい独り言ちてしまったり。
けどそれも、フュリオサがのるトレーラーが敵陣地で攻撃にさらされるシークエンスに突入すると、俄然温度が変わって急に盛り上がってきたりする。
なんかその繰り返しでしたね。
アクションで盛り上がって、それ以外は結構冷めた目線でドラマを追う、みたいな。
結局ね、怒りのデスロードはあれでよかったが、同じことを2度やるのは厳しい、ってことだと思うんです。
北斗の拳の雑魚キャラや、センスがおかしいパンクスみたいな連中に囲まれてモーターバトルって、そう何度も見たいものじゃないと思うんですよ、9年経過してるとはいえ、ね。
ただ、こういう映画に真正面から取り組めるのはジョージ・ミラーしかいない、と言う意味で前述したように紙一重が醍醐味ではないか、と。
あとは好みでしょうね。
ケンシロウが不在の北斗の拳において、持たざる少女はどう生き抜いていくのか?に興味を持てる人なら楽しめるかもしれません。
79歳でこんな映画撮れるだけでもすごい、って評価ももちろんあるでしょうしね。
混在するばかばかしさというか、よくわかんないユーモア?みたいなのは割と好きかな。
ねじレート 72/100