アメリカ 1989
監督 メアリー・ランバート
原作 スティーブン・キング
数多くの作品が映画化されたキングですが、その中でも強く印象に残っているのがこの1本。
そんなに手の込んだプロットではないんです。
まあ、キングの作品はどれも緻密な描写とデティールへのこだわりで読ませるものが多いですから、プロット云々を問うよりもその世界観をどう料理したのか、が問われるべきかとは思いますが、私が深く感じ入ったのは、この作品が、盲目的な愛の形をテーマにしていたから、なんですね。
死んだものがよみがえる、と噂される、いわくつきのペットの霊場で禁断の行為に手を染めてしまった主人公は最後、どのような末路をたどったのか。
この作品を気味悪い、とか後味が悪い、と言う人も多い様に思いますが、私はエンディング、自分の愚かさをわかっていながらもそうせざるを得なかった主人公の気持ちを考えると、切なさに胸が熱くなりました。
どんな悲劇的な結末が待ち受けていようと、もう一度、一目でいいから会いたいと願う気持ちを見事表現しきったラストシーンは、これもまた愛に殉じた姿なのだ、と語りかけているように私は思います。
一見安っぽいホラーに見えますが、わかりやすいオカルトな舞台が提示したものは、ありふれたラブロマンスより、はるかに愛情というものの本質、その執着を鮮やかに描いていたように思います。
シナリオの勝利、と言えるかも知れませんね。
名画、というとちょっと違うかもしれませんが、私にとっては忘れられない作品ですね。
コメント
[…] ペット・セメタリーのほうが似たようなネタで遥かに上手にやってる、というか。 […]