2016年初出 墨佳遼
イーストプレス 1巻(全6巻)
簡単に言ってしまうなら、ケンタウロスがもし戦国時代にいたら・・を描いたファンタジー。
物語では「古来より神獣として崇められてきた存在であったが、戦乱が彼らを戦いの装具に貶めた」と設定されてますが、それにしてもなぜケンタウロスなのか?ってのが私にはよくわかんないですね。
テーマになってるのは異種族間における無理解と衝突なんです。
これ、別に半人半獣である必要はまったくない。
人馬を特異点とする社会そのものが、単に「作者の思いつき」以上のものを提示できてないんですよね。
人の世界に引きずり降ろされた神を描きたいのかなあ、と最初は思ったんですが、どうやらそうでもないみたいですし。
人馬のパーソナリティが妙に世俗にまみれてて下世話なのも気になった。
かつては神獣扱いなんだったとしたら、彼らなりの文化なり、属性がなきゃおかしいんですよ。
姿形が人と違うだけで、中身は閉鎖的な村に住まう地方の若輩と何ら変わりないですしね。
時々コメディタッチな流れでご機嫌伺ってるのもマイナスだと思います。
暗くなりすぎないように配慮したのかもしれませんが、ファンタジーなりのもっともらしさをすり減らしてるだけ。
見目が奇抜なだけ、というのが偽らざる感想ですかね。
異質なものを排他したがる人の性根を描きたかったのなら、もっと説得力のある方法がいくらでもあるだろうと思う次第。
続刊で違う展開が拝めるのかもしれませんが、初期設定で私は振り落とされました。