1962年初出 手塚治虫
両親を亡くしたアイヌの少年コタンと、動物園行きの列車から脱走した虎、ダンとの種族を超えた友情と冒険の物語。
アイヌの残した宝を探す、というプロットも、その宝が実はなんであったか、というオチも、きちんと練られていて、良いと思うんですが、虎のダンがさしたる理由もなしに人語を解してコタンと意志疎通が出来るという展開が、少年サンデー掲載の割にはいささか幼年向きっぽいような気もしなくはありません。
当時の少年サンデーがどのあたりの年齢層をターゲットにしていたのかはよくしらないんですが。
これはどうなんだ、と思ったのはエンディング。
なんでまたこんな悲惨で痛々しいラストシーンにしちゃったのか、私にはよくわかりません。
何かを示唆、暗喩しているとも思えないですし。
先生があとがきで描かれているように結局は不調だった、ということなのかもしれません。
決して悪くはないんですが、後味の悪さに賛否が分かれそうではありますね。