1966年初出 石ノ森章太郎
小学館文庫 1~2巻(全10巻)
非常に良くできた連作時代劇だと思います。
佐武と市のキャラも立ってるし、ミステリ仕立てのストーリーも当時の時代背景や風俗を上手に取り入れて、本格志向。
時代劇におけるバディものとしては出色の出来だと舌を巻きました。
ただですね、この作品、1話で収まりきらなかった物語の筋立てを逐一ナレーション風に書き込む傾向があって、それがどうにも私はひっかかった。
緻密なプロットとシナリオが作品の背後にあることは充分わかるんですが、それを全部文章で説明してしまっちゃあそれはマンガ表現の敗北だ、と思うんですね。
単なる絵解きに堕してしまう。
大人も充分楽しめるものを、という並々ならぬ意欲は感じ取れるんですが、うーん、なんかこうすっきりしない。
10巻全部読んだわけではないので断言は出来ないのですが、 やはり石ノ森章太郎という人は少年漫画を描いてる方が生き生きしてる、と思ったりもしました。
ダメだ、ってことじゃないんですけどね。
まあ、好事家の戯言です、お聞き流しを。
コメント
[…] 佐武と市捕物控 […]
[…] 作者の代表的な時代劇といえば佐武と市捕物控でありさんだらぼっちか、と思うんですが、個人的な好みでいうなら本作が一番よく出来てるんではないか、と思わなくもありません。 […]