1956~72年初出 手塚治虫
講談社全集 全7巻
初期の作品はおもしろブックの別冊に月一で掲載された連作短編、その他は少年ジャンプに掲載された短編を集めたもの。
ライオンブックスの命名は当時の集英社の編集長によるもので、SFを意識して描かれた作品がほとんどであるとか。
ちなみに講談社の全集のカタログにあるタイガーブックスは本シリーズの後発姉妹編のようなもの。
とりあえずおもしろブック掲載のものと少年ジャンプ掲載のものでは時代も絵柄も違うので並列に語ることは出来ないと思いますが、おもしろブックの方が稚拙さが目に付くものの、力が入ってる印象を受けます。
SFという言葉すらなかった時代にそれを浸透させようと息巻いていた先生の心意気が伝わって来るかのようです。
少年ジャンプ掲載のものは良くも悪くも力を抜いた内容。
「安達が原」や「荒野の7匹」等、印象に残る作品もありますが、有名な「百物語」はそれほどでもなく、「マンションOBA」にいたってはほとんどコメディ。
当時のジャンプ読者向き、と考えるなら、これで正しいのかも知れませんが。
先生の「巧さ」は伝わってきます。