1969年初出 手塚治虫
3作の中編を収録した1冊。
表題作「大暴走」は船舶パニックものなんですが、パニックものらしいスリルやサバイバル感は希薄で、なんとなく企画モノな話をでっち上げてみました、ってな印象。
ストーリーの核となる人工知能の存在もどちらかというと手垢感。
正気か、と思える描写が見開き一面で講談社全集版106ページにはあって、やはりこりゃ失敗作だろうと。
「虎人境」は亜人種の存在を不気味に描いた秀作。
グロテスクなオチに評価が別れそう。
「黄色魔境」は当時の山田正紀が活字でやってそうな内容。
救いはないんですが、きっちりSFで秘境探検っぽい展開は結構好きです。