ロシア 2017
監督 フョードル・ボンダルチュク
脚本 アンドレイ・ゾロタレフ、オレグ・マロヴィチュコ
ロシア発の侵略SF。
ある日突然町中に巨大な宇宙船が墜落してきて人々はパニック、けれどその後宇宙船はなんの反応も示すことなく、奇妙な小康状態が続く・・・というのが序盤の筋立てなんですが、あえて指摘するまでもなくメッセージ(2016)と概要はよく似てます。
なんでしょう、一周回ってちょっとしたブームなんですかね、この手のネタ。
ほぼ同時期に作られてたみたいなんで便乗商品ってわけじゃあないようですが。
メッセージが未知の言語と時間を思弁する本格SFな内容だったのに対して、本作はどちらかというと非常に80年代的。
どっちかというと当時のスピルバーグ作品やスターマン(1984)、さらに遡るなら地球の静止する日(1951)あたりと質感は非常に近い。
そうなんです、人型宇宙人が登場してくるんですよね、この作品。
それがダメだ、ってわけじゃないんですけどね、やっぱり2017年に人型宇宙人を普通に登場させちゃう感覚がどうなんだろ?というのは私の場合あって。
時流を考えるなら世界標準じゃないだろうと。
あえて人型宇宙人でなきゃダメだ!と思えるなにかも見受けられなかったですし。
どこかリブートというか、オマージュみたいな物語になっちゃってるんですよね。
最終的な落とし所も予想通りのヒューマニズムあふるる例のアレでしたし。
なぜ2017年にこれなんだ?というのがどこからも見えてこない。
また、シナリオが結構雑で。
とりあえず、外宇宙人との第三種接近遭遇を青春SFみたいな味付けで料理するのはいかがなものなのだろうか、と。
トントン拍子にうまく行けば行くほど信憑性やリアリズムは置き去りになるばかりで。
ロシア人と日本人との価値観の違いも影響してるのかもしれませんが、登場人物がやたらバカばっかりなのもひたすらイライラさせられた。
なんか大人の冷静な判断、未曾有の事態に的確な処置ができる人が1人も出てこないんですよね。
なんせオープニングでいきなりロシア軍、宇宙船をミサイルで迎撃してますから。
いや、それ、ダメだろうと。
えっ、なんで最初からケンカ腰?みたいな。
逆に言うなら、ロシアっていまだそういう国なの?と実感できる怖いシーンだったりもするんですけどね。
監督の意図として、ソビエト崩壊の混乱からまだ完全に抜け出しきれてないロシアを「宇宙人という異物」を通してあからさまにしたい部分もあったのかもしれませんが、それを対比として提示するのではなく、ただ混沌としたままどさくさ紛れに情に訴えかけるやり方で最後まで突っ走っちゃってるんでね、明確なテーマが非常に伝わりにくい状態になってるのは間違いないです。
映像は西洋諸国と比較しても遜色ない、と思ったんですが、見る側の共感を引き出すすべをもう少し学ぶべきだと思う次第。
一言でいうなら、妙にレトロで変な一本。
SF映画としての体裁だけはちゃんとしてるんで、妙に戸惑わされた作品でしたね。