アメリカ 2017
監督 ヨハネス・ロバーツ
脚本 ヨハネス・ロバーツ、アーネスト・リエラ

いわゆるオープン・ウォーター(2004)系の、ワンアイディアだけで勝負した海洋パニックもの。
サメを安全に鑑賞するために檻の中に入ってダイビングする「シャークケージ・ダイビング」の最中に、ワイヤーが切れて檻ごと海底まで墜落、残存酸素はわずか20分、主人公の2人組は無事生還できるのか、ってのが物語の大筋。
最近じゃあ似たような作品でロスト・バケーション(2016)なんてのもありましたし、オープン・ウォーター3:ケージ・ダイブ(2017)なんて作品も同時期にメディア化されてるようです。
まあ、ネタ的には枝葉末節は違えどそれほど新鮮味はないですよね。
手堅いところでウケを狙ってる感じは濃厚。
ただ、この作品が上手だったのは、ケージの扉を開けて脱出すれば助かりそうなものの、水深47mから急浮上すると潜水病になってしまう、という足枷を設けていること。
これは設定のうまさですよね。
少しづつ浮上していかなくちゃ脳に障害が残る。
けれどゆっくり浮上してたんじゃサメに食われてしまう。
自力で逃げれそうなのに逃げられないジレンマのお膳立てはなかなかのものだった、と思います。
船上と連絡を取るためには水深30メートルぐらいまで浮上しないと電波が届かない、としたのも巧み。
助かりそうなのに助からない「寸止め感」は見る側を否が応にも前のめりに。
そうこうしているうちにもどんどんタンクの酸素はなくなってくる。
海中から脱せない恐怖、閉塞感の演出は既出の作品に全く劣ってない、と思わせるものがありましたね。
終盤に待ち受ける残酷なフェイントも見事。
なんとなくわかってはいたんですけど、安直に「良かったね」とさせないあたりが小憎らしい。
大傑作、というわけじゃないとは思いますが、思わぬ拾い物、って感じでしたね。
この手のパニックものが好きな人にとっては満足の一作じゃないでしょうか。
とりあえず私は、絶対ダイビングやらない、と固く心に誓いましたね。