テルマ

ノルウェー/フランス/デンマーク/スウェーデン 2017
監督 ヨキアム・トリアー
脚本 ヨキアム・トリアー、エスキム・フォクト

テルマ

人とは違う能力を持つ少女を描いた北欧ホラー。

えー監督自身が公言してますんでわざわざ指摘するまでもないんですが「これ、キャリー(1976)だよね?」って、知ってる人はみんな言うんじゃないかと思うんですね。

もちろん細かな部分であれこれ差異はあります。

でも、物語の構造が全く同じなんですよね。

異形を受け入れられず、宗教に救いを求めてる親とか、追い詰められると(強く願うと)能力を発現する主人公の少女とか、挙げ句の顛末とか。

北欧版キャリー、と呼べば聞こえはいいですが、私の場合「リメイクです」って言われても多分信じたと思う。

それほどまでに扱ってるテーマも、シナリオ進行の筋道も同じ。

唯一違うのは、主人公であるテルマが戒律で罪とみなされる同性愛者であり、エンディングでは「巣立ち」を思わせるシーンを用意していることですが、だからと言って「キャリーとは違うんだ!」とは、ならないように思うんですね。

だって同性愛者云々は宗教的愚昧さを際立たせるための焚付けにすぎないし、エンディングは悲惨過ぎる結末を回避しただけ、ともとれますし。

つまりは「なぜもう一度キャリーをやる必要があるのか?」が、よくわからない。

北欧ならではの美しい映像や、印象的なシーンはいくつかあるんで、まるごと全部否定したいわけじゃあないんですが、これなら別にキャリーを見とけばいいのでは?と思えてしまう点が私は一番ひっかかりましたね。

ファン気質だけで制作に乗り出したとも思えないですし、かといってキャリーを踏み台にして別の地点に着地してるわけでもない、うーん、私には監督の意図が読めません。

ほぼ、かぶってるよね?って、誰か言ってる人、居るんでしょうかね?

私の感覚では、あえて見る必要もなかった一作。

スティーブン・キングが「盗作だ!」と騒ぎ立てないことを祈るばかりです。

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