フランス/アメリカ 2015
監督 ジェームス・ワトキンス
脚本 ジェームス・ワトキンス、アンドリュー・ボールドウィン

CIAのはみ出し捜査官が、スリで生計を立てている小僧を相棒に、爆弾テロ事件の犯人を追うサスペンスタッチのアクション映画。
2015年という公開年を考えるなら、色々タイムリーだったんだろうなあ、とは思います。
サン=ドニ地区の商業施設で同時多発テロとかありましたもんね。
極右政党をテロの標的としたストーリーの滑り出しも、時代をきちんと読んでる、と感じさせましたし。
CIAという他国の諜報機関の目線を通して物語は進んでいくんで、今、フランスで何が起こっていて、どんな風に人々は振り回されているのか、客観的目線で理解することができるんですよね。
そこに「まあ所詮映画だから」と卑下されない高い現実味はあったんじゃないでしょうか。
フランス警察を向こうに回し、CIAの上官とも対立しながら横紙破りに犯人を追っていく主人公の活躍もスリリングでいい。
ただね、私がいささかひっかかったのは、なんでスリの小僧が主人公のバディみたいな感じになってるんだ?という点。
小僧を検挙したまではいいんです。
でも普通CIAの捜査員が容疑者を犯人追跡に連れまわしたりするか?と私は思うんですよね。
いかに小僧が誤解から命の危険にさらされていようと、一緒に現場踏み込んだりとか、ありえないですよね。
足手まといでしかないし、なによりド素人には危険すぎる。
しかもそれが最終的にはもうひとり女の容疑者も加わって、3人のチームみたいになっちゃうんですよね。
なんなんだこれは、と。
やりたかったことはそりゃわかりますよ。
はみ出し捜査官とスリのデコボココンビがテロからパリを救う、ってな風にしたかったんでしょう。
けどね、2人がコンビを組まざるをえなくなる必然性がシナリオになきゃ、そんなの安っぽい三文漫画でしかないですよね。
まず、バディありき、になっちゃってるんです。
そこに私は上手にのっかってやれなかった。
どうしてもバディを成立させたかったのなら、主人公を完全に孤立無援な状況に追い込めばいいだけだったのに、なぜそれができなかったのか、と。
最大のネックはそこでしょうね。
結果、つまらなくはないんだけど、なんか普通だった、ってな感想しか抱けない有様に。
事件の顛末だけを追うなら、決して悪くはないシナリオだと思うんですが、のれない時ってのはなにをどうしたって冷めた目線でしか見れないわけで。
派手なアクションシーンとか目を引く部分もあっただけに残念。
主演のイドリス・エルバはなかなかはまり役だ、と思ったんで、あえて注目するならそこでしょうか。
まわりまわって平均点、というのが私の総評。