アメリカ 2015
監督 アラン・テイラー
脚本 レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ
どうもかつてのシリーズ「3」と「4」がなかったことになってるみたいですけど、あわてて過去作を復習してなにがどうなってるのか、理解しなおす必要はないと思います。
見てるうちに思い出します。
大丈夫です、私がそう。
元々そんな小難しいストーリーじゃないですしね。
とりあえず、あーがんばってるなあ、というのは凄く伝わってきました。
だってね、はっきり言っちゃうとこのシリーズって、もう2で全部終わってる、と思うんですよ。
あれ以上のエンターティメントって考えられないですし、 そもそも未来からの刺客ロボネタでそう何作も作れるわけがないんです。
シナリオを担当した2人はきっと苦労したことだろうなあ、と。
そういう意味で「よくがんばった」。
よくぞここまであれこれこねくりまわしてなんとか続編らしい体裁を整えたことだと思います。
ちゃんと普通にターミネーターファンに訴えかける代物に仕上がってるし、少なくとも4なんて比べ物にならない。
でもね、やっぱりほころびはいくつかあって。
重箱の隅をつつくようですが、時間軸云々を持ち出してきたのはやっぱりあんまりよくなかった、と思うんです。
結局ですね、時間を遡った世界が知られている過去とは微妙に異なる歴史をもつ世界だった、カイルが二人居た、なんてことをやっちゃうと、 もう多元宇宙に言及するしかなくなっちゃうわけで。
つまりスカイネットが滅びない世界もありうる、と言外に示唆しちゃってるんですね。
するとどうなるか。
映画で描かれている世界を救ったところで、別の次元の世界ではカイル不在でジョンは生まれなかった、なんてことも考えられるわけです。
時間の謎を解き明かさないかぎりなにをやっても無駄、という矛盾を孕んでしまうんですね、このシナリオだと。
それに目をつむって今存在しうる世界でだけの攻防を描かれてもやっぱりしっくりこないものがある。
老いたシュワルツェネッガーが無敵のターミネーターというのも私にはちょっと受け入れがたいものがありました。
いや、熱演なんです。
これまでで一番いい演技かも、と思う。
でもね、どうしても老人の所作がふとした隙に画面からにじみでちゃうんですよね。
かつてのターミネーターファンが大喜びするであろうくすぐりは満載ですし、決して楽しめなかった、と言うわけではないのですが、これをシュワルツェネッガーのスター映画だとするならここが潮時だと思います。
続編に意欲満々なエンディングでしたが、もうやめておいたほうがいい。
私にとってはこのシリーズに胸躍らせた頃を思い起こさせる、リバイバル的一品でしたね。
リバイバルは1度でいいんです。
だったら色んな疑問も胸の奥に押し込んで素直に、おもしろかったね、と言ってやることも出来る。
次は見たくないなあ、と。
それを見た後一番に考えてしまいましたね。