カナダ 2015
監督、脚本 フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル
核戦争で文明が崩壊したもうひとつの1997年、弱肉強食の世界で奮闘するアメコミタッチのヒーローを描いたSFバイオレンス。
マッドマックス風の舞台設定と暴力描写、低予算ゆえのチープさがうけて話題になった作品らしいですが、ま、マッドマックスのように理解不能なエナジーがぐつぐつとたぎってるはずもなく、適当にゆるく、適当にコミカルです。
どっちかというと、北斗の拳的少年漫画テイスト満載、と言った方がいいかもしれません。
基本、デティールにあまりこだわってないんですね。
世界をどうみせるかより、派手に血しぶき飛び散る肉片のほうに重点がおかれている、というか。
私は子供向け特撮変身ヒーローものでも見てるような気になりました。
とにかくつっこみどころがありすぎて、どこから攻めればいいのか迷ってしまうぐらいだ、というのが本音ではあるんですが、でも多分これはこれでいいんだろうな、と思ったりも。
だってもう、ほんとにバカですし。
監督3人雁首そろえて「僕達の好きなことだけ、たっぷりつめこんでみました」って、満面の笑みなのが手にとるようにわかりますし。
そんな空間に切り込んでいったところで手ごたえがあるはずもなく。
ところどころで笑っちゃいましたしね。
とりあえず移動手段が敵も味方も自転車しかない、というのはなかなかすごいアイディアだったと思います。
自転車にのったいい大人が本気でチェイスしてる画には悔しいが爆笑。
挙句には自転車が登場するだけで条件反射的に吹き出す始末。
肝心の主人公がどうみても普通に着ぐるみとしか思えないのにも恐れ入った。
しゃれのわかる人向け、ですね。
志は低いが、やりたいことに一切ブレはない、という姿勢に好感が持てれば楽しめる、と思います。
パロディなのか、カルトなのか、世間の評価とは裏腹に、いや、全部本気ですけど、って言ってそうで怖いですね、私は。
なんか勢いにのって2とか作っちゃいそうだなあ、こいつら。